依存症は遺伝する?遺伝的にお酒に強い体質だと、アルコール依存症の発症に繋がる!?【図解 依存症の話】

遺伝的要素や環境要因は影響する

依存症になるのは、本人の心の弱さや甘えが原因という誤解が根強くあります。例えば、遅刻や欠勤を繰り返してまで飲酒をやめられないのは、自己管理のできない弱い人間だから、などの間違った認識です。依存症は心の弱い人がなるものではありません。むしろ、誰かに頼ったり弱音を吐いたりしていたほうが、依存症にはならなかったりもします。つらくても自分で乗り越えなくてはいけないと思ったり、周囲の期待に応えなくてはならないと孤軍奮闘するうちに、依存症という沼から抜けられなくなってしまうのです。

一方、遺伝的要素については、物質依存との関連が多くの専門機関の研究で報告されています。アルコール依存者の約3人に1人がお酒を多飲する親を持ち、アルコール依存症の一致率は二卵性より一卵性のほうが高いという結果が得られています。また、アルコール依存症の発症に遺伝的要因が占める割合はおよそ2分の1から3分の2と推定され、遺伝的にお酒に強い体質であることも、アルコール依存症の発症に大きく影響します。生育環境など環境的要素も見逃せません。子どもの頃から周囲の大人がおいしそうにお酒を飲んでいる姿を見て育つと、お酒はおいしくて飲むと楽しくなるもの、だから自分も大人になったら飲みたいと刷り込まれます。生育環境が、飲酒の習慣の呼び水になることもあるのです。

依存症は人に頼らないことがきっかけで起こる!?

愚痴やつらさを誰かに話すのが苦手で、ストレスを自分1人で抱え込みがちな人は要注意。そのはけ口がお酒やギャンブルに向かうと……。

つらい経験やトラウマを抱えている

DVやモラハラなど、つらい経験やトラウマから逃れられない……。

自分だけで対処しようとする

誰にも話せないつらさを1人で抱え込む。でも、何とかしたい……。

依存状態に陥る

飲酒したら爽快な気分に。酒量が少しずつ増えて、気付いたら……。

依存症を発症している人の大半は普通の人

依存症は特別な人だけの問題ではなく、自制心の強さも関係ありません。ごく普通の人がふとしたことから陥る可能性があるのです。

依存症に遺伝や環境は関係ある?

依存症の発症のしやすさは遺伝との関連もあり、親がアルコールに依存しているかや遺伝的なアルコール耐性、周囲の大人の飲酒の印象なども影響します。

遺伝的要素

アルコール依存症の発症に遺伝的要因が占める割合はおよそ2分の1から3分の
2と推定され、お酒に強いかどうかも依存症の発症に影響します。

環境的要素

子どもの頃に周囲の大人がおいしそうにお酒を飲んでいるのを見て育つと、大人になったら飲んでみたいと思うようになり飲酒習慣に繋がります。

出典:『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』大石 雅之

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【書誌情報】
『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』
大石 雅之 著

特定の物質や行動をやめたくてもやめられない病の「依存症」。スマートフォンの普及や時代の変化にともない、依存症の種類も多様化しました。「スマホ依存」「ゲーム障害」などの言葉は、テレビやインターネットのニュースで目にする機会も増え、社会問題として注目されています。依存症は一度症状が出てしまうと完治が難しい病気です。本書はその依存症について具体例を交えながら、依存する人としない人の違いや依存症の進行の仕方、依存症が起こるメカニズムなどを、メンタルマネジメントや環境、生活習慣の観点から図解でわかりやすく解説。

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