国税庁、株式公開買付(TOB)成立後、上場廃止となった株式の買取りに係る所得税の申告漏れ等について注意喚起

財務省・国税庁(財務省本庁舎)

国税庁は、2023年6月22日、「株式公開買付(TOB)成立後、上場廃止となった株式の買取りに係る所得税(株式等譲渡所得)の申告漏れ等について」を公表しました。

これは、株式公開買付(TOB)成立後、上場廃止となった株式をTOBによる買付者等に買い取られたことにより譲渡益が生じた場合、所得税の申告が必要になることについて、国税庁が注意喚起するものです。

国税庁が、株式を買い取った企業から税務署に提出されている「株式等の譲渡の対価の支払調書」(法定調書)に基づき、サンプル的に調査を行ったところ、調査等件数379件のうち、申告漏れ等の非違件数が199件あったとのことです。

TOBの成立後に上場廃止となった株式をTOBによる買付者等に買い取られた場合には、上場株式の譲渡ではなく、証券会社を通さない相対取引になるため、特定口座での損益の計算はされず、また、他の上場株式の譲渡所得との損益通算や繰越控除ができません。そのため、上場廃止となった株式をTOBによる買付者等に買い取られた場合は、申告漏れが生じないよう、十分留意する必要があります。

<参考資料>
「株式公開買付(TOB)成立後、上場廃止となった株式の買取りに係る所得税(株式等譲渡所得)の申告漏れ等について」(国税庁 HP)
https://www.nta.go.jp/topics/pdf/0023006-036.pdf

パートナー 大石 篤史
アソシエイト 山岡 孝太

森・濱田松本法律事務所 Client Alert 2023年7月号(第115号)より転載

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