文科省の高度情報専門人材確保に向けた機能強化で、国立大学の情報系入学定員365人増枠を計画

US進学総合研究所は、2023年7月21日に発表された大学・高専機能強化支援事業(高度情報専門人材確保に向けた機能強化 支援2)について採択状況を分析し、機能強化にともない国立大学情報系学部学科で入学定員365人増枠の計画があることについて、私立大学情報系学部学科の募集状況にも影響が大きい見解を示した。

この支援事業(支援2)は、2022年度第2次補正予算で創設された約3,000億円の基金を基に、国公私立大学と高専を対象として成長分野をけん引する高度情報専門人材育成の機能強化に対して支援金を交付する。情報系分野で大学院段階の取組を必須としているが、国立大学の場合、第5期中期目標期間終了時までに他学部・他学科を中心に同規模の定員減を行う計画であることが条件で、学部でも入学定員増が認められており、365人増枠が計画されている。

国立大学情報系学部学科で入学定員増枠が計画されている大学は、北海道大学、東北大学、東京工業大学、電気通信大学、金沢大学、岡山大学、愛媛大学、佐賀大学、大分大学の9大学。東京工業大学の増枠は、23区内キャンパスのため特定地域内学部収容定員増抑制の除外規定の適用による特例も使っている。

増枠する国立大学の中で、最も多いのは金沢大学。支援2による75人増だけでなく「魅力ある地方大学の実現に資する地方国立大学の定員増」採択による35人増もあり、合計110人の増枠となる計画。他大学は、1大学あたり30~50人の増枠となっている。

US進学総合研究所は一時的措置とはいえ、2024年4月に国立大学の報系学部学科だけで365人も増えると、私立大学の学生確保に少なからぬ影響が出るとみている。2024年4月は、この増枠以外でも、全国の国公私立大学で情報系学部の新設・改組が予定されており、情報系学部学科の希望者が増えなければ、倍率低下を招く恐れがある。

経済界では、高度情報人材が足りておらず、極端な売り手市場が続いている。2024年度に大学院の授業料後払い制度がスタートすることもあり、US進学総研は今回の枠拡大でどこまで高度情報人材を増やせるのか注目されるとしている。

参考:

【US進学総研】大学・高専機能強化支援事業(支援2)初回公募選定結果について考えてみる

【文部科学省】「大学・高専機能強化支援事業」の初回公募選定結果について(PDF)

【文部科学省】令和6年度からの国立大学の収容定員の増加に係る設置計画一覧(令和5年7月)(PDF)

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