爆音バイク、なぜ野放し? 深夜に出没、警察の対応を疑問視する声も 広島

爆音をまき散らしながら呉市内を走るバイク

 激しい爆音がして飛び起きた。午前0時過ぎ。2台のバイクが騒音をまき散らしながら、住んでいるマンション付近を走り過ぎていった。広島県呉市で深夜から未明にかけて現れる「爆音バイク」だ。一晩に何度も出現することもあり、寝不足気の人もいる。迷惑行為は明らかなのになぜ野放しになっているのだろう。

 爆音バイクのコースになっているとみられる国道31号沿いに住む会社員男性は騒音のため約3年前から慢性的な寝不足に陥り、昨夏ストレスで潰瘍性大腸炎を発症。約1カ月間入院した後、休職を余儀なくされたという。

 約5年前から深夜にバイク2~4台が連なって現れるようになった。「一夜に3回、110番したことがあったが迷惑行為は減らない」と諦め声で話す。

 警察の対応を疑問視する声も。50代男性は自宅付近で爆音バイクを確認する度に警察に通報したという。だが「取り締まりはしている、と繰り返すばかり」と憤る。

 広島県警によると、今年1~6月呉市内での車両の騒音に関する摘発は5件。少年対策課の属哲雄次席は取り締まりが難航している側面を認め、近年はグループが小規模化し「時間帯や経路などを把握するのが難しい」と説明。グループが交流サイト(SNS)で取り締まりの動きを共有し、検問を回避している可能性もあるという。専用の騒音測定器具を使って、その場で確認しないと摘発できない現状もある。

 広島大大学院の吉中信人教授(刑事法)は「職務質問などに注力し、指導で注意啓発を続けることが大切」と指摘した上で、市民にも協力を求める。「スマホで動画などを撮影して警察署に持って行くと警察も動きやすい。ナンバープレートなどは貴重な捜査資料になる」としている。

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