尾上松也さんが絶賛…小鹿野の子ら「舞台度胸据わっていた」 町役場新庁舎落成記念で特別公演、演技指導も

町内小中学生に歌舞伎の見得を指導する尾上松也さん(中央)=5日午後、埼玉県小鹿野文化センター(町提供)

 3月に開庁した埼玉県小鹿野町役場新庁舎の落成記念事業「小鹿野町民歌舞伎劇場」町内小中学生向け特別公演が5日、小鹿野文化センター(同町小鹿野)で行われた。児童生徒約400人が、大歌舞伎で活躍する尾上松也さん(38)、市川蔦之助さん(43)ら歌舞伎俳優と交流を深め、伝統芸能の奥深さを学んだ。

 公演は、「歌舞伎のまち小鹿野」ならではのオリジナルプログラムで実施。生徒たちは、松也さん、蔦之助さん主演の長唄「吉原雀」を鑑賞したほか、歌舞伎をより深く知るための特別講座に参加。町立小鹿野中学校の歌舞伎団「鹿中歌舞伎座」や、小鹿野町子供歌舞伎団OBメンバーが舞台に上がり、松也さんらに演技指導を受けた。

 見得(みえ)切りやセリフ回しなどを教わった小鹿野中3年の荒船咲喜さん(14)は「とても親近感があり、優しく指導してくれた。より歌舞伎が好きになった」と笑顔を見せた。高橋玄暉さん(14)は「身のこなしが段違いで、プロの演技に魅了された。これからも練習して腕を磨きたい」と目を輝かせた。

 公演後、取材に応じた松也さんは「経験豊富な子どもが多く、舞台度胸が据わっていた」と、講座参加者を絶賛し、「地芝居を後世につなげる取り組みを町一体で進めてくれているので、われわれとしても大変心強い」と語った。

 蔦之助さんは「大歌舞伎は大都市でなければ触れる機会が少なく、全国的にもまだまだなじみが薄い。子どもの頃から歌舞伎に親しみを持っている町の子どもたちが、世界に広めていってほしい」と期待を寄せた。

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