処理水放出「国と信頼関係ない」 青森県漁連、経産省と意見交換

処理水放出に関する説明会冒頭、政府に慎重姿勢を求める二木会長=8日、青森市

 東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を巡り、県漁連は8日、青森市の県水産ビルで、漁業関係者向けの説明会を開いた。県内各漁協の組合長、水産業者ら約90人が出席し、経済産業省や東京電力と意見交換した。県漁連の二木春美会長は取材に「国との信頼関係がない」として、改めて放出に慎重姿勢を示した。

 説明会では、経産省の松永明参与が、国際原子力機関(IAEA)が「放出計画は国際基準に合致する」との報告書をまとめたことや、海産物の風評被害対策について述べた。東京電力の新妻常正フェローらは放出設備の安全対策などを説明。両者とも海洋放出への理解を求めた。

 意見交換は非公開で約1時間行われた。終了後、二木会長は報道陣の取材に「科学的根拠に基づき、処理水を放出しても被害はない-とする国の主張はある程度理解できるが、どんな風評被害が出るか分からず不安だ」と漁業者の声を代弁した。

 また、岸田文雄首相が7日、処理水放出に関し「漁業者との信頼関係は少しずつ深まっている」と述べたことには「青森の漁業者との信頼関係はまだない。放出の時期を先延ばししてでも、漁業者の理解を得るべき」と語った。

 松永参与は「しっかりと理解が得られるよう、説明を繰り返していきたい」と話した。政府が8月下旬~9月前半の放出に向け検討に入ったとの報道については「(時期は)一切決まっていない」とした。

© 株式会社東奥日報社