線路や運転操作、現時点で問題なし 弘南鉄道大鰐線(青森県)脱線事故

事故車両の調査に向かう調査員ら=8日午前9時半ごろ、弘前市の津軽大沢駅

 6日に発生した弘南鉄道大鰐線の脱線事故の原因究明のため、国の運輸安全委員会は8日、青森県弘前市の津軽大沢駅の車庫で事故車両を調べた。同委員会の吉田孝志鉄道事故調査官は取材に対し、これまでに線路側の異常や運転操作面の問題は現時点で確認されていないとし、事故原因は「精査してからでないと分からない」と語った。同委員会による現地調査はこれで終わり、今後は同鉄道が車両などを詳しく調べる。

 8日の調査では、車輪に脱線した際にできたとみられる傷が見つかった。7日までの調査で、レールや枕木など線路側に著しい異常は見つかっていない。運転士への聞き取りも実施し、問題はなかったという。同委員会は1年以内に事故原因をまとめ、報告書を公表する。

 運行を再開するには東北運輸局に、考えられる事故原因に対し安全対策を行ったことを報告し、認めてもらう必要がある。弘南鉄道は脱線した場所のレールを交換し、区間内のカーブの線路を調べる予定。

 弘南鉄道は大鰐線の全区間で9日までの運休を決めている。10日以降の対応は未定だが、早い段階でバスの代替輸送を始める方針で、現在バス事業者と調整している。弘南鉄道の中田正志取締役業務部長は「できる限りの対策をしっかり行う」と語った。

 事故は6日午前11時半ごろ発生。大鰐駅発中央弘前駅行きの2両編成の後ろの車両が進行方向の左側に脱線。運転士1人と乗客18人にけがはなかった。

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