「長い時間待つのは嫌だった」アメリカ挑戦の吉田麻也はヨーロッパからの移籍を吟味もチャレンジを選択、同じロサンゼルスで活躍する日本人にも刺激「大谷や八村のような存在に」

[写真:Getty Images]

メジャーリーグ・サッカー(MLS)のロサンゼルス・ギャラクシー(LAギャラクシー)に加入したDF吉田麻也(34)が8日、入団会見を行った。

【写真&動画】吉田麻也が大谷翔平と同じエンゼルスのユニフォーム姿で始球式、その結果は!?

日本代表のキャプテンとしてチームを牽引し、カタール・ワールドカップ(W杯)ではベスト16の成績を残した吉田。2022-23シーズンは自身初となるドイツでのプレーとなり、シャルケに所属していた。

ディフェンスリーダーとしての活躍が期待された中、チームはセンターバックの選手が開幕直後から相次いで離脱。吉田は出続けたものの、守備の不安定さが拭えずにチームは低迷。ブンデスリーガで29試合に出場も、終盤は出番を失い、チームは2部に降格。吉田は1年で退団した。

新たな所属先を探していた吉田だが、なかなか新天地は決まらず。それでも3日にLAギャラクシー入りが発表されていた。

1年半契約を結び、2024年末までプレーすることになった吉田。本拠地でもあるディグニティ・ヘルス・スポーツ・パークで入団会見を行い、英語でメディア応対も見せた。

まず、LAギャラクシーからの関心を知った時の心境を聞かれた吉田。「7月中旬に僕が日本にいた時に始まり、その後は交渉が始まり、お金のことではなく、プロジェクトに関して確認した」とコメント。「自分にとって正しい選択なのかを聞くために、直接話をしました。日本やヨーロッパとは違うこと。僕はヨーロッパを離れるのは大丈夫なのか。正しいプロジェクトであることを確認し、新たな挑戦ができるかを確認した」と移籍の決め手を語った。

「また、数週間後に決断をしたけど、ご存知の通り長く待つ必要がある。日本からここまでの距離もある。ここに来てメディカルチェックを受け、ドイツに戻って全ての荷物をまとめ、イングランドに行き、ここに来た。とても長いプロセスだった」とコメント。移籍と言っても自身の体1つで移籍はできない大変さを明かした。

また、LAギャラクシーへの移籍が正しい決断だったか?という質問には「もしかしたらUAEに行くかも知れなかったし、アメリカに来るかも知れなかったし、ヨーロッパに残ることもあった」とコメント。「でも、自分の年齢を考えると、良い契約をヨーロッパで結ぶには難しいし、長い時間待つ必要が出てくる。フリートランスファーの他の選手もまだ移籍を待っている。狭いスペースになるし、長い時間待つのは嫌だった。フィットネスを適応させる難しくなる」と、移籍に時間をかけたくない理由を明かした。

LAギャラクシーについては「ここに来て、施設やスタジアムを見せてもらったし、スタッフはとてもきちんと対応してくれて、本当に感謝している」と語り、「正直に言って僕が最近所属した2チームと比べると、このチームは良い。プレミアリーグ並みであり、とても驚いて印象的だった。オーガナイズされたクラブは、正しい決断、正しく動いていく。この決断はよかった」と、好印象を持っていると語り、LAギャラクシーに来られたことは良かったとした。

また、日本人の記者からの質問には日本語で対応。「日本語で話せるのは嬉しい」と冗談も。日本代表への思いについても「可能性は十分にあると思います」と語り、移籍について改めて語った。

「ヨーロッパで待つ時間が長くなればなるほどリスクも増えて、先輩方が待って、長友選手や川島選手、岡崎選手が長い間待っているのを見てかなり苦労しているなというのを感じて、なるべく早く決まれば良いなと思っていてオファーが来ました」

「ヨーロッパから出るという選択は簡単ではなかったですが、その中でも良いクラブで質の高い選手たちとプレーできるということ、自分の情熱が燃えるかどうかがこの年齢になると大切になると思うので、そこを含めてチョイスしました」

「W杯、特にアジアカップに向かっては、このチームがプレーオフに行かないとかなり時間が空いてしまうので、チームの目標もそうですが、自分の目標もプレーオフに行って、試合数をこなして、選ばれるパフォーマンスを見せて、1月に選ばれるようにしたいなと思います」

移籍の理由と日本代表への復帰に向けての気持ちを語って吉田。ロサンゼルス

「誰もやったことがないところでチャレンジするというのは、キャリアの中で今まで軸としてきた1つの指針でもあるので、日本からオランダに行く時も、オランダからイギリスに行くときも、日本人のCBが成功しないと色々な人に言われてきましたけど、自分の中でそこにチャレンジすることに意義があると思っていましたし、誰もやったことがないことに道を切り拓くということがモチベーションになるので、アメリカでもその道を切り拓ければと思います」

日本人が多いロサンゼルスで見せたいものについては「驚いたのは、ヨーロッパにいて、ロンドンとかデュッセルドルフを見てきて、デュッセルドルフよりも日本人が住みやすい海外はないだろうと思っていましたが、ここに来てデュッセルドルフ以上に住みやすいかなというのが驚いています。特にスーパーとか選択肢が多すぎて、ちょっと驚いています。それだけ日本人が長くここにいるという証拠だと思います」とコメント。「多くの日本人の方にスタジアムに足を運んでいただきたいですし、色々な企業やクラブとコラボレートしたいですし、何より自分が良いパフォーマンスをして、日本人の方に誇りを持ってもらえる活躍をしたいですし、元気づけられる活躍をできればと思います」と語った。

また「例えば、大谷選手や八村選手はそういう存在であることは間違いないですし、自分もそういう存在になれるように、良いパフォーマンスで盛り上げていければと思います」と意気込みを語った。

MLBの大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)やNBAの八村塁(ロサンゼルス・レイカーズ)と他競技の日本人アスリートも活躍する街であるロサンゼルス。そこでの刺激については「違う分野のアスリートからはいつも刺激をもらっていますし、実際に彼らと面識はないですが、面識あるアスリートとはいつも刺激し合ってやっているつもりです」と語り、「他のアスリートが活躍すれば、特に今年はバスケットもラグビーもW杯があって、女子サッカーもW杯をやっていて、刺激ををもらっているので、僕自身も負けたくないなと思っています」と語った。

また、オーストラリア&ニュージーランド女子W杯ではなでしこジャパンがベスト8に進出。日本代表としてW杯を3度経験している吉田は、アドバイスを問われてコメントした。

「僕がベスト8以上に行ったことがないので、ここからのアドバイスをどうしたら良いかわからないですが、間違いなく疲労は来ていますし、それと同時に団結力も強くなっていると思うので、ここからは総合力。出ていない選手が活躍する、途中で出てくる選手が結果を出すというのがチームに勢いをもたらす良いキッカケになると思います」

「今までチャンスがなかった選手にも必ずチャンスが来るので、全員が良い準備をして良いパフォーマンスをする、結果を出すというのがチームを助けると思います。ここからが、ここまで出ていない選手の勝負所かなと思います」

© 株式会社シーソーゲーム