1人の女性を取り合うドロ沼の愛憎劇…イケオジ対決に注目!

武侠ドラマ「飛狐外伝(ひこがいでん) レガシー・オブ・ヒーロー」は日本でも“武侠小説の大家”として圧倒的な人気を誇る金庸の名作をドラマ化。原作小説は「雪山飛狐」の前日譚を描いたスピンオフで、この2作はこれまでにも繰り返し映像化されています。

総監督は香港でアクションを学び俳優としても活動、本作では乾隆帝役も務めるレン・イーミン(連奕名)、アクション監督は「慶余年~麒麟児、現る~」(19)「狼殿下‐Fate of Love‐」(20)も手がけるツァオ・ホア(曹華)。ドラマのサントラは1991年の台湾ドラマ版「雪山飛狐」のエンディング曲だった「追夢人」を新たにジン・ウェンチー(金玟岐)が歌っています。

今回は1人の女性を取り合うイケオジ二人を紹介します!

リン・ユーシェン(林雨申)

1980年10月23日生まれ、北京市出身。母親はプロデューサーとして名高いリー・シアオワン(李小婉)。当初は留学して金融を学んでいたものの、留学中に演技に目覚めて帰国すると名監督リー・シャオホン(李少紅)のドラマ「橘子紅了(原題)」(02)で俳優デビュー。中国ドラマはもちろん得意の英語でアメリカ映画『恐怖の臨界点』(18)などにも出演しています。

日本では彼をラブコメ「2人はスパイシー&デリシャス」(20)でチャオ・ルースーの相手役を演じたイケオジとして記憶している人も多いと思いますが、中国では「倚天屠龍記[いてんとりゅうき]〜乱世に煌めく愛〜」(19)の楊逍役で人気を取り、本作の苗人鳳役でも話題沸騰! 体は小柄なのに大物感が漂うヒーロー役にふさわしいオーラに圧倒されます。

©Shenzhen Tencent Computer Systems Company Limited

演じる苗人鳳(びょうじんほう)は“天下無敵の金面仏”と呼ばれる寡黙な大侠客。主人公・胡斐が仇敵として対決を願っている男です。彼は姿を現しただけで圧倒的なオーラを放つ英雄で、そのカリスマ性は抜群。目にも留まらぬ素早さで襲いかかる複数の敵を斬っていきます。しかも、目隠しをしたり赤子を抱えていたりしても、決して剣さばきが狂わないという見事な腕前です。

そんな最強の男である彼は高潔で頑固、決して己の信念を曲げないところがあります。自分の剣に胡一刀を死なせた毒が塗ってあったのはなぜか? 18年もの間ずっと、その陰謀の真相を突き止めたい、行方の知れない胡一刀の息子を見つけたいと調べ続ける彼は、その手がかりが見つかると寂しがる妻と幼い子供を置いて独り旅立ちます。

しかし、それが悲劇の始まりに。彼の留守中に夫が死んだという知らせを受け取った妻は、彼の弟分・田帰農と親しくなっていくことに。帰宅した彼はいったいどんな決断をするのか…。

ピーター・ホー(何潤東)

1975年9月13日生まれ。香港人の両親の下、アメリカで生まれ台湾で育ちカナダで学んだ国際派。大学卒業後は台湾で芸能界デビューし、「僕らはふたたび恋をする」(11)など数多くの台湾アイドルドラマに出演、『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』(03)に初の外国人ライダーとして登場するなど日本の映画やドラマでも活躍しました。

また、「三国志 Three Kingdoms」(10)など中国ドラマでも存在感を発揮して、日本でも「月に咲く花の如く」(17)でヒロインの優しい夫役を演じたのが、改めて人気を集めるきっかけに。なお、本作の田帰農役は一見「月に咲く花の如く」と同じく優しくてよく気がつく夫キャラなのに、まさかの悪役というギャップがたまりません。

©Shenzhen Tencent Computer Systems Company Limited

田帰農(でんきのう)は人当たりがよく社交的、見るからに鷹揚な豪傑。でも、世俗的な野心が強く、江湖で名を成すだけでなく朝廷と繋がって権力を得たいと考えています。苗人鳳のことも兄貴と慕って世話を焼いているように見えますが、その心には策略が渦巻いていて一筋縄ではいかない男です。

物語の中では悪役ではあるものの、女性や子供に対しては実に優しい態度。女性が喜ぶことをマメにするし、子供をあやすのも上手で、江湖と仁義が一番の苗人鳳とは対照的に家庭的な面を見せます。その結果、夫が死んだと思い込んだ苗人鳳の妻は彼に心を惹かれていってしまいます。

しかし、彼は女性の扱いで苗人鳳に勝てても、武術と名声ではどうしても勝てないことを思い知らされることに…。


TEXT: 小酒真由子

© 株式会社エスピーオー