足袋型スポーツシューズ事業強化 岡本製甲、藤井投手と契約し開発

藤井投手が着用している岡本製甲の足袋型スパイク

 靴メーカーの岡本製甲(倉敷市茶屋町)は、爪先が二つに分かれた足袋型スポーツシューズの事業強化に乗り出した。第1弾として、プロ野球・ソフトバンクの藤井皓哉投手(27)=おかやま山陽高出、笠岡市出身=とスパイクに関するアドバイザリー契約を結んだ。スポーツ選手の生の声を製品開発に生かし、来春には新製品を投入。2、3年後までに関連の年間売上高を現在の1.7倍に当たる1億円へ引き上げたい考えだ。

 5月1日に結んだ契約では、同社は藤井投手が求める性能やデザインのスパイクを提供する一方、製品のブラッシュアップにつながる情報や助言を受ける。藤井投手は試合などで、同社のスパイクのみを着用。広告や販促では藤井投手の写真などを利用できる。

 同社は、野球用スパイクやゴルフシューズといったOEM(相手先ブランドによる生産)などが主力。足袋型シューズは2007年から自社製品のブランドとして展開しており、スポーツ用は「バルタン」シリーズで野球スパイクを受注生産。健康を重視した「ラフィート」ではウオーキングシューズなどを販売する。

 「バルタン」強化に向けては5月に営業、開発に携わる専任スタッフ1人を配置。野球スパイクの新製品と、ゴルフシューズを来年3月をめどに投入する。ランニングシューズや子ども用運動靴の開発にも着手した。

 岡本陽一社長は「足袋型はスポーツと相性が良く、高いパフォーマンスが期待できる。国内製造の強みも生かし、プロの要求に迅速に応えながら、一般人も使いやすい製品を開発したい」と意気込む。

 藤井投手は15年、広島カープに入団したが、20年に戦力外通告を受けた。独立リーグを経て21年12月にソフトバンク入り。日本野球機構(NPB)への復帰が決まり、用具の提供先を探していたところ、恩師のおかやま山陽高野球部・堤尚彦監督を通じて岡本製甲の協力を受けることに。以降、足指を広げて踏ん張りやすく、バランスを崩しにくい足袋型スパイクを愛用しているという。

 契約は同社側が打診。企業が報酬を支払うのが一般的だが、藤井投手は無償で引き受けた。藤井投手は「NPB復帰当初からのサポートに感謝している。足袋型スパイクの普及と自身のレベルアップに向けて力を合わせたい」と話している。

 岡本製甲は1950年創業、64年設立、資本金1千万円。売上高は非公表。従業員34人(パート含む)。

足袋型スパイクを履いて投球する藤井投手((C)SoftBank HAWKS)

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