海水から未知のウイルス群を発見 分類階級「門」相当、研究者驚き

ウイルスの主な分類階級

 海水中に含まれるさまざまな細菌やウイルスのゲノム(全遺伝情報)を解析した結果、微生物に感染するとみられる未知のウイルスのグループを発見したと、京都大などの国際研究チームが9日までに英科学誌ネイチャーに発表した。

 ウイルスの分類で上から3番目の階級の「門」に相当するという。京大の緒方博之教授(ウイルス進化学)は「こんな大きなグループがまだ見つかっていなかったことに驚いた」と話している。「驚くべき」「奇妙な」を意味するラテン語に由来して「ミルスウイルス」と名付けた。

 チームは、海水中の微生物を調べる日米欧のプロジェクトで得られた大量のゲノムの断片を解析。断片をつなぎ合わせて再構築したところ、共通の特徴を持ち、「門」を構成する111種の未知のウイルスが含まれていることが分かった。

 チームによると、表面の構造に関わる遺伝子が、人間を含む動物にだけ感染するヘルペスウイルスなどのグループとほぼ同じだが、増殖などに関わる遺伝子は主に微生物に感染する別のグループに似ているという変わった特徴がある。

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