怪談話・お化け屋敷のルーツは「歌舞伎」にあり! 夏の風物詩の疑問に大学教授らが回答【みんなのハテナ】

Park KSBアプリに皆さんから寄せられた疑問をもとにお伝えする「みんなのハテナ」です。皆さんは夏にお化け屋敷に行ったり怪談話を聞いたりしますか? 今回はそんな「お化け屋敷や怪談話」に関するハテナです。

「なぜ夏に怪談話をするの?」(岡山市 はるみな 38歳)

民俗学や妖怪などを研究する国学院大学の飯倉義之教授が理由にあげたのが「歌舞伎」です。

(国学院大学/飯倉義之 教授)
「歌舞伎っていうのは夏になると、怨霊とかが出てくる怪談芝居をやるっていうのが一つの定番になってて」

飯倉教授によるとエアコンがなかった江戸時代。暑い夏は歌舞伎小屋を訪れるお客さんが減ってしまう季節でした。さらに、花形の役者らは夏休みを取ったり、涼しい地方へ巡業に行ったりして、歌舞伎小屋には未熟な役者たちが残されました。

そんな中でもお客さんを楽しませようと考えられた演目が「怪談」だったそうです。

(国学院大学/飯倉義之 教授)
「人をびっくりさせる仕組みで驚かすってなると、怪談っていうのが都合が良かった」

また飯倉教授は日本のお盆の風習も夏に怪談話をするようになった要因の一つだと考えています。

お盆に帰ってくる魂の中には無縁仏など浮かばれないものがあるとして、それらをなぐさめるためのお芝居が日本ではかつてから行われていたということです。

「お化け屋敷はいつ頃から始まったの?」(まんのう町 しのぴー 55歳)

飯倉教授によると、ここにも歌舞伎が関係しているそうで……。

(国学院大学/飯倉義之 教授)
「歌舞伎の仕掛けの中でいろいろと人形を使うんですね、生首の小道具とか、幽霊の人形とか。そういうのを芝居の中で使うだけじゃなくて 飾り始めるんですよね」

歌舞伎で怪談がはやり始めた1830年ごろ、ある人形師のファンだった医者が特に出来の良かった人形を自宅に飾り評判になりました。これを聞いた見世物小屋が興行として始めるようになったのがお化け屋敷の始まりだと言われています。

お化け屋敷についてこんな疑問も……。

「偽物と分かっているのになぜ怖い?」(岡山市 ひこか 53歳)

演出側が怖がらせるためにどんな工夫をしているのかを探るため、8月21日まで開かれている「岡山タカシマヤ de キモダメシ」の会場で話を聞いてみました。

(イベントをプロデュース ネオスペース/樋口光仁さん)
「いろんなシーンが登場するわけですけど、そのシーンをより体感する、体で感じるのにふさわしい音源ですとか音の内容を置く」

さらに……。

(イベントをプロデュース ネオスペース/樋口光仁さん)
「照明に関しては、見える限り暗く、すごくシビアな照明に関する調整をするんですけど、それによってよ~く見れば見えるっていうところを狙う」

岡山高島屋で開かれているイベントでは謎解きをしながら「肝試し」を楽しむこともできます。

(イベントをプロデュース ネオスペース/樋口光仁さん)
「見ざるを得ない状況っていうのは、普段の生活とはちょっと違うところで、怖いものを避けて通ることができにくい状況を謎解き的な設定の中に埋め込むというのは一つの工夫ではありますね」

時代が変わっても怪談話やお化け屋敷が人々に親しまれている理由について飯倉教授は……。

(国学院大学/飯倉義之 教授)
「人の思いは、残って不思議なことを起こすんじゃないかとか、この世ならぬものの出現があり得るんじゃないかって、私たちが思ってる限りは、それらっていうのは興味関心が集まる」

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