トラクターの転倒を疑似体験 倉敷河上農機 シミュレーター製作

倉敷河上農機が製作したトラクター転倒のシミュレーター

 農作業中の死亡事故防止に向け、農機販売の倉敷河上農機(倉敷市笹沖)はトラクターの転倒を体験するシミュレーターを製作した。車体の前方が上がったまま、左側に傾く状態を再現している。

 台座(長さ約1.4メートル、幅約1.3メートル、高さ約0.5メートル)に小型トラクターの車体を取り付けた。油圧シリンダーの伸縮を利用し、後方に最大20度、左に最大28度傾く仕様。それぞれ15度以上傾くと転倒の危険性が高くなるという。7月下旬に岡山市内であった展示会で披露。貸し出しにも応じる。

 同社によると、田畑でトラクターは旋回をするため、片方の車輪だけブレーキが利くようにできる。この設定を解除せずに、道路などに出ようとすると、片方のブレーキだけが作動することで車体が傾き、転倒してしまう可能性があるという。

 農林水産省によると、農作業中に発生した事故による死者は全国242人(2021年)。乗用型トラクターは農機で最多の58人で、うち40人が「機械の転落・転倒」だった。13年に同省が行った調査では、死亡事故を経験した農家の約3割が廃業しているという。

 山部修嗣社長は「後継者不足や高齢化が進む中、死亡事故が離農の原因になってはならない。シミュレーターで危険性を感じ、事故防止の意識を高めてもらえれば」と話している。

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