遺伝子が関与する疾患とは!?「尿管結石」になりやすい人も遺伝が関係していた?【図解 病理学の話】

染色体や遺伝子の変異によっておこる

両親から受け継いだ遺伝子が変異し、発症に関与している疾患を「遺伝病」といいます。生まれたときからすでにみられる疾患を「先天性疾患」といいますが、遺伝によらない先天性疾患や、先天性疾患の形をとらない遺伝病もあります。

「伴性遺伝病(伴性劣性遺伝)」は、X性染色体にある遺伝子の異常によっておこる病気で、この遺伝子を伴性遺伝子といいます。

X連鎖遺伝病ともいわれ、異常者は女性(XX)よりも男性(XY)に、はるかに多くみられます。母親が患者の場合は、男児はすべて患者になります﹇左ページイラスト参照﹈が、女性はX染色体が2本ありますので、その中の1本が正常の遺伝子を持っていれば、見かけは正常となります。

伴性遺伝病に「赤緑色盲」がありますが、網膜の錐体細胞の機能不全によって赤と緑の色覚異常を生じる疾患で、日本人に多くみられます。

また「血友病」は、血液を固める血液凝固因子が生まれつき欠乏・低下している病気です。血液凝固因子は、怪我などで血管壁が破れて出血した際、止血する役割を担う物質です。

染色体数の増減、構造の異常による「染色体異常症」による「ダウン症候群」は、ダウンによって命名された疾患で、精神発達や発育が障害され、特異な顔貌や心疾患などの合併症もみられます。

多数の環境要因と遺伝要因がある域をこえたときにはじめて異常を発現する「多因子型遺伝病」には次の疾患があります。

また、「痛風」は、核酸が代謝されて最終的に尿酸として尿中に排泄されるところ、尿酸の過剰産生や腎機能障害のために尿中への尿酸排泄が不十分で、足の親指のつけ根に疼痛がおこり、腎機能が低下します。原因として、肉食過多、悪性腫瘍による細胞崩壊などがあります。

他にも、「尿路結石」は腎臓から尿道までに、尿の成分中のカルシウムなどが結晶化するもので、遺伝性の関与があると考えられています。

血友病の原因と遺伝例

正常な場合

血液を凝固させるタンパク質 「フィブリン」

血友病の場合

血液凝固因子が不足か欠乏し、フィブリンがつくれず、 止血ができない

血友病の遺伝パターン

母親が保因者の場合の男子は、健常者と患者の両方の可能性がある。

シリーズ累計250万部を突破した「図解シリーズ」の読みやすさ

図解シリーズは、文章と分かりやすい図で解説という形で構成されているので、本が苦手な人にも理解しやすい内容です。

図解シリーズには、健康・実用だけではなく大人の学びなおしにピッタリな教養のテーマも満載。さくっと読めてしまうのに、しっかりとした専門家の知識を身につけることができるのが最大の魅力です!

気になる中身を少しだけご紹介!消化管のおもな病気と症状とは?

放っておくとがんになる炎症とポリープ

消化管とは、口腔から始まり食道、胃、小腸、大腸を経て肛門までの食物の通路のことをいいます。食道から胃までを上部消化管といい、食道にみられる病気で、近年増えているのが食道の粘膜が炎症をおこした「食道炎」です。その症状は、胸部の痛み、下障害(飲み込みにくい)、胸やけ、 香酸、などがあります。食道炎の中で多いのが「逆流性食道炎」で、これまでは高齢者に多くみられましたが、最近では若い人にも増えてきました。放置すると潰瘍に進行し、食道がんのリスクも高くなります。便秘が原因のひとつとされており、食生活にも注意が必要です。肝硬変患者の3大死因のひとつとなっているのが「食道静脈瘤」です(そのほかは肝がん、肝不全)。食道粘膜の下層にある静脈が太くなり瘤のようになった状態です。これは「門脈圧亢進症(もんみゃくあつこうしんしょう)」が原因となって発症します。「門脈」とは、腸で吸収された栄養素を肝臓に送り込む血管のことで、門脈を通して取り込んだ栄養は肝臓で処理されて全身に運ばれます。

しかし、肝硬変になると血液が流れにくくなり、それまで門脈を流れていた血液は、本来のルートからはずれて食道の血管を流れるようになります。食道への血流が多くなる結果、血管が船のようにふくれあがって食道静脈瘤になります。手当が遅れると瘤が破れ大出血してショック死をすることもある怖い病気です。胃の粘膜の炎症でおきる「胃炎」は、急性胃炎と慢性胃炎に分けられ、急性胃炎は喫煙、暴飲暴食、アルコール飲酒、ストレスが原因のものと、感染性(ブドウ球菌、アニサキス)があります。慢性胃炎はヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)、や加齢などの複数の因子が絡み合っているとされます。胃の粘膜にポリープができる「胃ポリープ」には、放置しても問題のない「胃底腺ポリープ」、比較的ピロリ菌が下人でなることが多い「過形成性ポリープ」、正常組織よりがんを発症しやすい前がん病変と考えられている「胃腺腫ポリープ」などがあります。

消化官のおもな病気

口腔

歯周病・口の中の腫瘍・嚥下障害など

食道

食道炎・食道静脈瘤など

胃炎・胃ポリープなど

十二指腸

十二指腸潰瘍・十二指腸炎

小腸

クローン病・小腸腫瘍など

大腸

大腸ポリープ・潰瘍性大腸炎など

肛門

痔核疾患・痔ろう

★生命の設計図といわれるDNA ★細胞には2通りの死に方がある!? ★貧血はどうして起きるの? ★がんって本当に遺伝するの?
などなど気になるタイトルが目白押し!

シリーズ累計発行部数150万部突破の人気シリーズより、「病理学」について切りこんだした一冊。病理学とは「病(気の)理(ことわり)」の字のごとく、「人間の病気のしくみ」です。コロナウイルスが蔓延する中で、人はどのようにして病気になるのかが、改めて注目されています。細胞や血液、代謝や炎症、腫瘍、がん、遺伝子などと、人体のしくみ・器官、食事を含む生活、加齢などさまさまな環境との関連から、「病気」を解明するもの。専門書が多いなか、病気とその原因をわかりやすく図解した、身近な知識となる1冊です。

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【書誌情報】 『眠れなくなるほど面白い 図解 病理学の話』 著:志賀 貢

病理学とは「病(気の)理(ことわり)」の字のごとく、「人間の病気のしくみ」。細胞や血液、代謝や炎症、腫瘍、がん、遺伝子などと、人体のしくみ・器官、食事を含む生活、加齢などさまさまな環境との関連から、「病気」を解明するもの。専門書が多いなか、病気とその原因をわかりやすく図解した、身近な知識となる1冊。細胞、血液、がんーー生命の不思議と病気の原因を、面白くわかりやすく探る!

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