発達障害があると依存症になりやすい?そもそも発達障害ってどんなもの?【図解 依存症の話】

発達障害と依存症の関係とは?

依存症と関わりの深い発達障害についても考えてみましょう。発達障害はASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、LD(学習障害)など多岐にわたります。生まれつき見られる脳の働きの違いによって起き、多くは幼児のうちから行動面や情緒面に特徴があらわれます。親の育て方が悪いわけでも、本人のわがままや努力不足でもありません。なかでも、依存症と合併しやすいのはASDとADHDです。ASDの主な特徴として、コミュニケーション障害をはじめ対人関係・社会性の障害、行動のパターン化や強いこだわりが挙げられます。ADHDは気が散りやすく集中できない、待つことが苦手で人の邪魔をしてしまうといった行動特性があります。ASDは成人の約1%、ADHDは3~4%に見られる身近な障害です。

発達障害の特性を考えると、仕事や人間関係で困難、つらさ、孤立感などを抱えやすいのが容易に想像できると思います。そんな生きにくさを簡単に解消してくれる手段として、お酒や薬物、ギャンブルに出合ったとしたら……。アメリカでは、ADHDの152%が物質関連障害を合併しているという研究もあります。一方で、依存症とADHDはどちらも衝動性が高いという特性があるため区別が難しく、そのことを踏まえた治療や援助が求められます。

発達障害ってなに?

発達障害は先天的な脳機能障害で、依存症と関連が高いものにはASD、ADHDがあります。

依存症と関連する主な発達障害の種類

ASD(自閉スペクトラム症)

相手の考えを読みとる、自分の考えを伝えるといったコミュニケーションが苦手です。また、特定のことへの強い関心やこだわり、行動が見られます。成人の約
1%が該当します。

ADHD(注意欠陥多動性障害)

注意を持続させることが困難、順序立てて行動することが不得意、ものをよく忘れる、落ち着きがないといった特徴があり、日常生活に問題を抱えがち。成人の3~4%に認められます。

社会人になってわかる大人の発達障害

周囲の理解やサポートによって子どもの頃は問題視されず、コミュニケーション能力や仕事上の成果を求められる年齢になって顕在化します。不安や抑うつ、身体症状があらわれることも。

発達障害と依存症は合併しやすい

物事に夢中になりやすいのは発達障害の特徴ですが、これにより依存症が進行しやすくなります。

新規のネット依存症患者のうち発達障害併発の割合

発達障害を併発している・・・22%

発達障害を併発していない・・・78%

※大石クリニック調べ

依存症と発達障害の合併を見逃さないで

大人の発達障害は、周囲や本人さえ気付かず、 診療やサポートに結び付かないケースも多々あります。依存症の根底にある発達障害の治療は、依存症からの回復にも欠かせません。

出典:『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』大石 雅之

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【書誌情報】
『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』
大石 雅之 著

特定の物質や行動をやめたくてもやめられない病の「依存症」。スマートフォンの普及や時代の変化にともない、依存症の種類も多様化しました。「スマホ依存」「ゲーム障害」などの言葉は、テレビやインターネットのニュースで目にする機会も増え、社会問題として注目されています。依存症は一度症状が出てしまうと完治が難しい病気です。本書はその依存症について具体例を交えながら、依存する人としない人の違いや依存症の進行の仕方、依存症が起こるメカニズムなどを、メンタルマネジメントや環境、生活習慣の観点から図解でわかりやすく解説。

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