食料自給力が過去最低 農地、労働力の減少響く

農水省は、国内生産だけで供給できる熱量を示す、2022年度の「食料自給力指標」を公表した。米と小麦を中心に作付けする場合に供給できる熱量は1人1日当たり1720キロカロリーとなり、前年度比26キロカロリー減少。芋類を中心に作付けする場合は2368キロカロリーで同53キロカロリー減った。農地面積や労働力の減少が響き、いずれも過去最低となった。

食料自給力指標は、消費量の増減に左右される食料自給率と異なり、輸入停止などの不測時に国内でどれだけの食料を供給できるかという潜在生産能力を表す。現在の食生活に近い「米・小麦中心の作付け」と、供給熱量の確保を優先した「芋類中心の作付け」の2パターンで示す。

いずれのパターンも、公表データのある09年度以降、最低を更新した。米・小麦中心の作付けでは、体重維持に要する「推定エネルギー必要量」の2168キロカロリーも下回った。

農地面積が前年比2・4万ヘクタール減の432・5万ヘクタールとなったことや、小麦の単収が同62キロ減の437キロとなったこと、魚介類の生産減などが下げ要因。

より労働力を必要とする芋類中心の作付けでは、これらに加え、農業就業者数が同7万人減の146万人となったことが影響し、米・小麦中心よりも下げ幅が大きくなった。

この指標では、肥料や農薬、化石燃料、種子などは国内生産に十分な量が確保されていると仮定。再生利用が可能な荒廃農地も活用する。栄養バランスも一定考慮している。

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