ビッグモーター不祥事“巻き添え”の佐藤隆太さん…タレント側は企業の「コンプラチェック」している?

除草剤問題やパワハラ問題なども噴出(SASA / PIXTA)※画像を一部加工

中古車販売大手「ビッグモーター」による自動車保険の不正請求問題を受け、2017年からイメージキャラクターを勤めていた俳優・佐藤隆太さんの所属事務所が、7月20日付での契約解除を発表した。

佐藤さんに対しては、「騒動に巻き込まれた」と同情する声がある一方、以前から同社による保険金不正請求疑惑が報じられていたのにもかかわらずCM出演を続けたことについて「片棒を担いだ」といった批判の声もあがっている。

なお7月31日には、ムード歌謡歌手の鼠先輩が自身の「X」(Twitter)を更新し「ビッグモータのCMやれます」「いたって真剣です オファーお待ちしております」と“アピール”していた。

CM出演タレントから企業への“コンプラチェック”

佐藤隆太さんに限らず、過去には藤田ニコルさん(吉野家「生娘シャブ漬け」騒動)、真矢ミキさん(茶のしずく石けん事件)ら企業のイメージキャラクターを務めていたタレントが「企業の不祥事」による“巻き添え”により、少なからずイメージダウンの影響を受けたであろう例もある。

一般的に、企業では取引相手に対する「反社チェック」「デューデリジェンス」など相手企業の調査を行うことが珍しくないが、タレントがCM契約を結ぶ場合にも、同様に契約先企業の調査が行われているのだろうか。エンターテインメント分野の企業法務に詳しい青沼貴之弁護士に聞いた。

「企業側からすれば、人気のあるタレントを起用することで莫大(ばくだい)な利益を得られる一方で、そのタレントが不祥事を起こした場合には著しい損失を被りかねません。そのため、そのタレントに不祥事がないか事実上調査を行ったり、契約上、そのような不祥事がないことを保証してもらう運用等は存在します。

他方、芸能事務所側は、自社にとって大事なタレントをメディアに露出させる以上、企業側と同様に、反社チェック、不祥事がないか否かの調査、不祥事がないことを保証してもらうようにしています」(青沼弁護士)

タレントが企業の不祥事に巻き込まれたら…?

反社チェックや、不祥事の有無などのチェックを経たとしても、佐藤隆太さんのように万が一企業の不祥事に巻き込まれてしまった場合、芸能事務所側は相手企業に対して、何かしらの法的措置をとることはできるのだろうか。

「企業と芸能事務所の力関係にもよりますが、契約上、不祥事を起こされてしまった側から不祥事を起こしてしまった側に対して、損害の一切を賠償する等の条項が契約書に盛り込まれることも多いです。

契約書に盛り込まれていなかったとしても、佐藤隆太さんのように不祥事に巻き込まれた側から不祥事を起こした側に対して、名誉権の侵害等に基づいて損害賠償を請求すること自体は可能かと思いますが、損害賠償請求をするとタレントのイメージも悪くなってしまいかねないので、芸能事務所側には慎重な対応が求められるように思います」(青沼弁護士)

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