舞台「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」2023が8月9日から博品館劇場にて上演。
「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(通称「あの花」)は2011年にオリジナルTVアニメとして放送され、劇場版・漫画・小説・ドラマとメディア展開を果たし、多くの人を感動の渦へ巻き込んだ大ヒット作。2022年に初めて舞台化をし、続く本年は演出・脚本を刷新して制作。
爆発的人気キャラクター・本間芽衣子(めんま）役に、2022年版舞台でファンから多くの支持を得たNMB48・AKB48出身の市川美織が続投。安城鳴子(あなる）役は、押しも押されぬグラビアクイーンとして活躍し、「魔進戦隊キラメイジャー」巫女・ヨドンナ役で注目を集めた桃月なしこ。鶴見知利子(つるこ）役へ、人気声優(「アイドルマスター ミリオンライブ!」シリーズ高山紗代子役）、歌手としても活躍する駒形友梨。
宿海仁太(じんたん）役は、ミュージカル「テニスの王子様」遠山金太郎役でデビューし、舞台「弱虫ペダル」泉田塔一郎役を演じた河原田巧也。松雪集(ゆきあつ）役に、ミュージカル「テニスの王子様」忍足侑士役や2019年の話題ドラマ「あなたの番です」クオン役を好演した井阪郁巳。久川鉄道(ぽっぽ）役を、オーディション満場一致の逸材、須賀裕紀。
舞台セットは初演と比較すると抽象的、中央に階段、始まる前はそこに小さな瓶に入った花。白いドレスを着た女性(横山智佐）が歌う。初演時もそうだったが、ここは舞台らしい出だし、ピアノの調べが響く。それから物語が始まる。
仁太ことじんたん（河原田巧也）は引きこもり気味、表情も暗い。「テレビ、くそつまんねー」と呟く。「じんたん、待って！」とめんま（市川美織）の声、水の音。”あの日”から時間が止まってしまったかのような超平和バスターズの面々。表面上はとくになんでもないように見えるが、皆、それぞれ”抱えて”おり、彼らの間には距離が生まれていた。
癖毛、容姿にコンプレックスを抱えている安城鳴子（あなる）（桃月なしこ）、進学校に通う松雪集（ゆきあつ）（井阪郁⺒）、大人っぽい性格の鶴見知利子（つるこ）（駒形友梨）、松雪集と同じ学校に通っている。久川鉄道（ぽっぽ）（須賀裕紀）は高校には行かずに世界中を放浪。
ストーリーはもちろん初演と変わらないが、舞台の構成や見せ方を一新、舞台らしい表現で『あの花』の世界観を余すことなく伝える。初演はアニメ版、劇場版のシーンが舞台上でかなりのリアリティを持って再現、だが、今回はちゃぶ台も見当たらないし、ラーメンも作らない、子役も登場しない。しかし、彼らの心情は痛いほどに伝わるし、”あの日”が彼らに影を落とし、囚われていることもよくわかる。じんたんにしか見えないめんま、そのめんまの願い、それを叶えるために超平和バスターズの面々は、あれこれ考え、奔走する。次第に見えてくる、彼らが何に囚われているのか、そして大人たちも、めんまの母親である本間イレーヌ（彩夏涼）はいまだに深い哀しみの中にいた。娘の死から目を逸らせていためんまの父・本間学（村田充）、寂しさを抱えているめんまの弟・本間聡志（一ノ瀬将飛）。じんたんの父・宿海篤（ラサール石井）は手を合わせる、妻の宿海塔子（横山智佐）は病で他界。篤はことあるごとに、妻に向かって諸々、”報告”。
じんたんはめんまの死、母の病死、不幸が重なり、高校受験もうまくいかず、その結果の引きこもり。めんまの死によって登場人物たちは闇を抱え、生きていた。物語はそこから脱却する姿を描く、それはすんなりとはいかず、痛みも伴う。それでもどうにか、自分自身と向き合おうとする。過去と現在、時間軸は行きつ戻りつ、そこから見えてくる彼らの想い。
アニメ版、劇場版を全て観た、初演も観たというファンなら、それぞれの表現の違いを噛み締めつつ、鑑賞できるはず。登場人物たちは皆、心優しく、それでいて脆く、だが、強い。強さと弱さは表裏一体、最後は皆、前を向く。哀しさと辛さと切なさを乗り越えた先に見える光は尊い。”本編”終了後のキャストが歌うあの曲、心に染み入るはずだ。
＜2022年公演レポ＞
あらすじ
高校へ行かず引きこもりぎみの仁太の前に、
死んだはずの友達・芽衣子が突然現れる。
彼女から”お願いを叶えて欲しい”とお願いされる仁太。
芽衣子は小学校時代の「超平和バスターズ」というグループの1人で、
仲が良い6人組だった。
芽衣子の死がきっかけで離れ離れになってしまった5人だったが、
芽衣子が現れたことがきっかけで、
鳴子・集・知利子・鉄道も、お願いを叶えるため再び集結する。
そんな6人によって動き始める、ひと夏の奇跡の物語。
概要
タイトル：舞台「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」2023
日程・会場：2023年8月9日(水)~15日(火) 博品館劇場
脚本・演出：畑雅文
配役：出演キャスト
宿海仁太 (じんたん)：河原田巧也
本間芽⾐子 (めんま)：市川美織
安城鳴子 (あなる)：桃月なしこ
松雪集 (ゆきあつ)：井阪郁⺒
鶴見知利子 (つるこ)：駒形友梨
久川鉄道 (ぽっぽ)：須賀裕紀
本間聡志：一ノ瀬将飛
本間イレーヌ：彩夏涼
本間学：村田充
宿海塔子：横山智佐
宿海篤：ラサール石井
スタッフ
原作：「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」
脚本・演出：畑雅文
プロデューサー：片岡義朗、慶長聖也
協力：秩⽗市、株式会社アニプレックス
主催：舞台「あの花」製作委員会2023
公式website：https://anohanastage.com/
