東海道新幹線、最高の瞬間が帰ってきた……コロナ禍の4年間で変わったこと、いま展開中のキリンビールコラボの取材で感じたこと

新大阪へ向かう東海道新幹線に乗り、一番搾りのプルタブを「カシュッ」とやる。

最高の瞬間である。

駅弁の蓋を取り、手を拭うと、最新型の「N700S」がするすると静かに東京を発った。新しくなったばかりの車内チャイムを聞きながら、ホタテやアサリをビールとともに味わう……品川、新横浜と凄まじいスピードで駆け抜けていく新幹線の車窓を眺めながら、車内販売を待つ。もちろん購入するのは名物の「アイス」とホットコーヒー。

繰り返すが、最高の瞬間である。

新型コロナウイルスも5類に移行し、4年ぶりに行動制限のない夏がやって来た。今年は大勢の人が「最高の瞬間」を味わうことだろう。筆者は8月の初めごろ、JR東海とキリンビールのコラボキャンペーン「キリン一番搾り『4年振りの夏応援プロジェクト』」の取材で東海道新幹線に乗車し、満杯の車内を見回してその確信を深めた。

コロナ禍で外出を控えていた人もいるだろう。東海道新幹線はこの4年間で大きく変わった。新型の「N700S」がデビューし、「ビジネス車両」や「お子さま連れ専用車両」が設定されるようになった。特大荷物の持ち込みには今では専用座席の予約が必要だ。しかしそのあたりのルールの変化は利用者にあまり認識されていないようにも見える。

そこで、久々に東海道新幹線に乗るという方のためにこの4年間の変化を簡単にまとめておくことにした。帰省や旅行にご活用いただければ幸いである。なお、今回取材したのはあくまで東海道新幹線ということで、東北・北海道新幹線や北陸新幹線、九州新幹線などではルールが異なる場合があることにご留意いただきたい。

※情報は全て取材時(2023年8月3日時点)のものです。最新の情報は各鉄道事業者のホームページなどでご確認ください。
※東海道新幹線の「車内ワゴン販売」は2023年10月末をもって終了し、新サービスへ切り替えられる予定です。

この記事の目次

・マスク着用と座席回転のルール
・五つの約束、どうなった?
・特大荷物の持ち込みには事前予約が必要
・最新型「N700S」を選ぼう
・忙しい人は「ビジネス車両」が便利
・時期によっては「お子さま連れ専用車両」の設定も
・車内チャイムも変わってる!?20年ぶりに新しく
・キリンビールと『4年ぶりの夏応援プロジェクト』

マスクの着用と座席回転のルール

まず多くの方が気になるのは「マスクは外してもいいのか」「座席の回転はOKなのか」という点だろう。東海道新幹線では、2023年3月13日から「マスク着用の呼びかけ」をやめ、基本的には利用客の判断に委ねている。

またこれまでは座席を回転して向かい合わせに座ることも禁じられていたが、マスク着用と同様に3月から解禁されている。

五つの約束、どうなった?

東海道新幹線ではコロナ禍の期間中に「JR東海からのお約束」として次の5つの項目を実施していた。

①「余裕を持った座席提供」
②「6~8分で車内を換気」
③「駅・車両等の消毒・清掃」
④「飛沫感染の防止」
⑤「ご希望の席を予約」

これらは乗客ではなく事業者側の施策で、①②⑤については引き続き実施しているものの、③④については変化が生じている。

「5月8日以降は新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類感染症に変更されたことを踏まえ、駅におけるビニールカーテンや消毒液の設置を取り止め、車両の消毒等もコロナ禍以前の対応に戻しています」(JR東海)

「新幹線・在来線の日々の車両清掃では、従来から一般的に殺菌効果のあるアルカリ性電解水による清掃を行い、客室内の衛生管理に努めています。また、車内の洗面所には液体せっけんを設置しております」(JR東海)

5類移行はあくまで政府や都道府県が取る措置を変えるというだけで、別に新型コロナウイルスの毒性が弱まるわけではない。仮にコロナにかかってもこれまでのように手厚い支援は受けられない。筆者は今年4月末ごろに罹患し、東京都の無料配食サービスでどうにか食いつないだ。咳でうなされながら「あと少し感染が遅かったら」と思うとぞっとする。移動時間を楽しむ気持ちは持ちながらも、マスクの着用や手指消毒を行い、引き続き各自しっかり感染対策を取ることが大事だ。

特大荷物の持ち込みには事前予約が必要

2023年8月現在、東海道・山陽・九州・西九州新幹線では、特大荷物を持ち込む場合は専用座席の予約が必要になっている。ここでいう特大荷物とは「縦・横・高さの3辺合計160cm超250cm以内の大きな荷物」のことで、大きなスーツケースなどが該当する。(3辺合計250cm以上の荷物は、これまでも車内への持ち込みは出来なかった)

詳細はJR東海・JR西日本・JR九州のHPに記載があり(※)、また「@baggage160」というX(旧Twitter)アカウントでも案内を行っている。国内旅行や帰省程度ならそこまで巨大なスーツケースを持ち運ぶ機会もなさそうだが、念のため新幹線の座席を予約する前に一度メジャーなどで測っておくとよいだろう。

※たとえばJR東海なら「トップページ」>「鉄道のご利用について」>「東海道・山陽・九州・西九州新幹線への特大荷物のお持ち込みについて」のページに詳しく記載されている。「特大荷物コーナーつき座席」利用者が使用できる「特大荷物コーナー」の利用方法については下記動画が参考になる。

最新型「N700S」を選ぼう

「N700S」の車体には金色のロゴマークが付いている(写真は2019年の取材時に撮影したもの)

鉄道ファンにはお馴染みのネタだが、2020年7月に最新型の「N700S」がデビューしている。直通運転する山陽新幹線でも活躍しており、2022年9月に開業した西九州新幹線でも6両編成版が投入されている。

東海道新幹線では「N700A」「N700S」の二種類の新幹線が走っており、車種によって料金が変わることはない。しかし設備は最新型の「N700S」の方が上なので、融通が利くなら「S」を選ぶべきだろう。全ての座席にコンセントがついており、乗り心地などもグレードアップしている。

ペットボトルを置いたまま窓のカーテンを閉められるなど、細部まで気が利いている

東海道新幹線の場合は「東海道・山陽新幹線の時刻表」というページで「N700S」の運行情報を発信している。いきなり新幹線に乗る!という状況になった場合は、まず当日の運行情報を調べて「この『のぞみ〇〇号』は『S』だな」と確認してから「EXサービス」で席を確保すると何かと便利だ。

とはいえ最近は本数も増えているので適当に飛び乗っても「S」に当たることも多い。どの便でもいいから適当に自由席に乗って移動しよう、というときは車体に金色の「S」マークがあるかどうか確認するといいだろう。

忙しい人は「ビジネス車両」が便利

「S Work車両」イメージ(画像提供:JR東海)

東海道・山陽新幹線では2021年10月から「S Work車両」の設定を行っている。これは新幹線「のぞみ」の7号車をビジネスパーソン向けの車両とし、車内で気兼ねなく仕事ができるようにしたものだ。

お盆や年末年始など混雑が見込まれる時期には設定されないが、普段の仕事で色々と切羽詰まっているときは大変ありがたい存在になっている。

この「S Work車両」の座席は2023年8月現在「EXサービス」でしか予約できないので、他の車両と比較して空いていることも多い。仕事が残っているときは積極的に活用しよう。

「S Work車両」は今後さらにブラッシュアップされ、10月からは「のぞみ」だけでなく「ひかり」「こだま」にも拡充される。2024年春からは駅券売機での購入なども可能になる。

時期によっては「お子さま連れ専用車両」の設定も

お盆や年末年始などに「お子さま連れ専用車両」が設定されるようになった。ジェイアール東海ツアーズの旅行商品として販売されている(※詳細は「東海道新幹線」「お子さま連れ専用車両」で検索)。

子供は泣くのが仕事とはいえ、新幹線の中で大声で騒いでいたりすると、親としても「まだ新幹線は早いかな……」という判断になってしまうこともある。でも、「お子さま連れ」だけの車両があれば? 子供が騒いでもお互い様、ということで気兼ねなく過ごすことができる。

今後も同様のサービスが続くかどうかは分からないが、子供と一緒に帰省したいという方はジェイアール東海ツアーズのページをチェックしておくと良いだろう。2023年夏はピカチュウのサンバイザーや駅構内の一部指定店舗で使える1,000円分のクーポン券もついてくる。

東海道新幹線にお子さま連れで乗るときは「11号車」「12号車」もおススメだ。中間デッキに「多機能トイレ」や授乳のできる「多目的室」などが備わっており、いざというときも安心できる。

車内チャイムも変わってる!?20年ぶりに新しく

最近話題になった大きな変化として、車内チャイムの変更が挙げられる。東海道新幹線では2003年からおよそ20年間にわたり、TOKIOの「AMBITIOUS JAPAN!」を車内チャイムに使用してきた。これが2023年7月に切り替わり、現在展開中のキャンペーンにあわせ、「会いにいこう」(歌唱:UA/作曲:岩崎太整)をアレンジしたチャイム流れるようになった。乗車の際は耳を澄ませてみよう。

ちなみに東海道新幹線にはJR西日本の車両も走っているが、こちらでは2023年8月現在も従来通り「いい日旅立ち、西へ」が流れる。

キリンビールと『4年ぶりの夏応援プロジェクト』

最後になったが、2023年7月21日からJR東海とキリンビールはコラボキャンペーンを展開している。

「会いたい人に会い、行きたい場所に行き、おいしいビールでよろこびを分かち合える、この『4年ぶりの夏』を楽しんでほしい」

そんな思いを伝えていくためにJR東海とキリンビールが共同で展開。「会いにいこう」という気持ちを伝えていくというもので、特設サイトでコラボWEBムービーを公開しているほか、「一番搾り」とサーモボトルが当たるSNS投稿キャンペーンを実施している。また全国各地の祭りを「一番搾り」とともに盛り上げる 「全国お祭り応援」も行っている。

SNS投稿キャンペーンは2023年8月31日まで展開中。「一番搾り」の350ml×2缶セットとJR東海「会いにいこう」サーモボトル1個を抽選で200名にプレゼントする。X(旧Twitter)の「@ichiban_KIRIN」をフォローし、指定のハッシュタグ3種をつけて家族や友人と会って夏を楽しんでいる写真を投稿すればOKだ。

キリンビールによると、現在このキャンペーンにはすでに多くの投稿があり、「夏を楽しみたい」「新幹線で家族に会いに行きたい」「夏は一番搾りで乾杯したい」といった声が多く上がっているという。なお、YouTubeに上がったコラボWEBムービーは2023年8月10日時点で135万再生に到達している。

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