ペレス、今シーズン後半は報酬が減額される可能性も。契約に報酬を見直す条項が存在すると海外メディアが報道

 セルジオ・ペレスの近ごろの成績不振は、彼の収入にも悪影響を及ぼすかもしれない。ある記事によると、彼がレッドブル・レーシングと交わした契約書にはパフォーマンスに関連した条項が含まれているという。

 この件に詳しい情報筋の話としてオランダの『De Telegraaf』紙が伝えたところでは、8月の時点でマックス・フェルスタッペンに125ポイント以上離されていた場合、レッドブルはペレスとの報酬契約を見直すことが可能なのだという。サマーブレイクに入る直前、両者の間のポイント差はまさに125点だった。つまり、ペレスがたとえチャンピオンシップで2番手につけていようと、今季後半に報酬やその他の面で手にする金額が減少する可能性がある。

 さまざまなメディアの概算によると、現在のペレスの基本報酬は年間約750万ドル(約10億7300万円)で、そこに個人的なスポンサー契約とは別に約350万ドル(約5億円)のボーナスがつく。

 ペレスは今季第5戦のマイアミGPが終了した時点でフェルスタッペンとは14ポイント差だったが、モナコでは予選でクラッシュし、そこから数週間、予選の成績不振に苦しんだ。一方のフェルスタッペンは無敵とも呼べる強さをみせ、マイアミからスパ・フランコルシャンまで8連勝という圧倒的な記録を打ち立てた。ペレスはもちろん、グリッドの他のドライバーに対してもポイントで大きく水をあけた。

2023年F1第13戦ベルギーGP セルジオ・ペレス(レッドブル)

 レッドブルのモータースポーツコンサルタントを務めるヘルムート・マルコが近ごろ述べたところによると、ペレスはタイトルを獲るという「夢から覚めた」ということだが、『Sky Sports F1』の解説者カルン・チャンドックは、レッドブルがペレスを「壊して」しまったのではないかと危惧している。

 たとえレッドブルが報酬見直し条項を発動させることが可能となったとしても、2024年末まで続くペレスとの契約期間を見直すことまでは想定されていない。契約の内容について、レッドブルは『De Telegraaf』を始めとするメディアの質問には答えないと述べた。

 以前レッドブルのドライバーだったダニエル・リカルドがグリッドに戻ったことで、ペレスはさらなるプレッシャーにさらされている。リカルドはアルファタウリでニック・デ・フリースの後任となったが、レッドブルでペレスのポジションを狙っていることを隠そうとはしていない。しかしこちらの面では、レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーの今週の発言である程度の安心が得られそうだ。ホーナーは、リカルドが2025年よりも前にレッドブルに戻る可能性を否定した。

「ダニエルにふたたびシートが用意されたのは、今後5年間アルファタウリのドライバーでいるという長期的な野心を持っているからではない」とホーナーはメディアに語った。

「彼はアルファタウリが、上位を争えるチームに戻るための最短ルートと考えているのだ。2025年に空きができるレッドブル・レーシングのシートが目標であることは明白だ」

「それこそが彼の目標だが、いずれにしても2025年以降のことだ」

2023年F1第13戦ベルギーGP ダニエル・リカルド(アルファタウリ)

 ペレスはレッドブルのリザーブからアルファタウリへと移籍したリカルドについて、残念なことだと述べたが、なぜ残念かという理由はまったく異なっている。ミルトンキーンズでのシミュレーター作業によるインプットに、リカルドが優れた能力を発揮していたからだというのだ。

「彼は実にいい仕事をしてくれていた」とペレスはメディアに語った。

「彼を失うことになったのは、少し問題だと思っている。彼はマシンについての理解が深い、とても経験豊富なドライバーだからね」

「彼とは非常にうまくいっていたし、レッドブルにとって有益な人材だった」とペレスは主張した。しかしその有益の度合いがあまりにも大きいために、ペレスにとっては不運となってしまうかもしれない。

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