「第75回カンヌ国際映画祭」監督週間正式出品、「第58回シカゴ国際映画祭」ゴールド・ヒューゴ(新人監督賞)受賞など、世界中の映画祭を席巻している新鋭シャルロット・ル・ボン監督の長編デビュー作『ファルコン・レイク』(8月25日公開)より、キャストのオーディションと撮影風景を収めたメイキング映像が解禁となった。
監督が語るキャスティングの裏側
湖畔の避暑地を舞台に、14歳になる少年と16歳の少女が辿る“忘れられないひと夏”を描く本作。大人へと変わりゆく年頃の少女が持つ大胆さと繊細さを兼ね備えたヒロインのクロエ役には、「無意識に人を惹きつけるような魅力を備えた美少女」を求めていたという監督。オーディションだけではその希望に叶うキャストを見つけることができず、公募に踏み切ると、ビデオだけでも200本が届いた。計400人もの中から選ばれたのは、当時18歳のサラ・モンプチ。
映像には、最近見た夢の話を語る想像力豊かで物憂げな表情が印象的なサラの貴重なビデオ映像も収められており、映像を見た時の様子を振り返りながら「クロエはこの子だ!」と即決だったと監督は語る。また、彼女の少年らしさも感じさせる雰囲気にも魅了されたという監督は、「映画でドレスを着させられるのがイヤだった」と役者としても活躍する自身の経験から、スカートではなく短いパンツを中心とした衣装にするなどこだわりも語られた。
そんなクロエに恋心を寄せる14歳を迎える少年バスティアン役には、奇しくも撮影時14歳だったジョゼフ・アンジェルが大抜擢。『パリの恋人たち』(18/ルイ・ガレル監督)に子役として出演していたジョゼフを見て、魅了された監督の強い希望でのキャスティングとなった。
「クロエとバスティアンがもし同い年だったら、付き合っていたと思えるような少年がよかった」と語る監督の意向通り、役者たちの実年齢や年齢差を活かしたキャスティングが実現できたことで、本作では思春期の少年少女にしか醸し出せない儚さや、ぎこちない距離感などがありのままに映し出されている。主人公のバスティアン役のジョゼフ・アンジェルは本作で「第11回カナダ・スクリーン・アワード」最優秀主演賞にノミネートされるなど、高い評価も受けた。2人の新星の才能を発掘したシャルロット・ル・ボン監督の深い洞察力による演出や、ジョゼフとサラが演じる等身大のバスティアンとクロエの姿に期待が高まる。
想像し得ない結末に、世界が心を奪われた
監督デビュー作の短編『ジュディット・ホテル』(18)が話題となったシャルロット・ル・ボンが、満を持して発表した初長編監督作『ファルコン・レイク』。本作で表現される独創的な世界観と16mmフィルム撮影で映し出す映像美は高く評価され、新鋭監督ながら今年5月に開催された「第76回カンヌ国際映画祭」では短編部門の審査員に抜擢された。
原作は、文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞に輝き、日本でも人気を博すバンド・デシネ (フランス語圏のマンガ)の名手バスティアン・ヴィヴェスによる「年上のひと」(リイド社刊)。原作者も映像化はできないと考えていた繊細な物語を見事に映画化した。監督自ら脚本を手掛け、原作をベースにしながらも映画オリジナルで紡がれる想像し得ない衝撃のラスト。観る者の心を掴んで離さない、これまでにない全く新しい青春映画が誕生した。
『ファルコン・レイク』は8月25日(金)より渋谷シネクイントほか全国順次ロードショー