神戸市、17人に520万円支払いへ 予防接種の健康被害、食費を未払い 救済制度を30年近く誤認

神戸市役所=神戸市中央区

 神戸市は10日、予防接種の健康被害者に支払う入院時の食費について、1994年10月から誤って支給対象から外していたと発表した。国家賠償法に基づいて過去20年分までさかのぼり、調査で判明した17人に対し、利息分を含む計約520万円を支払うという。

 市保健所によると、予防接種のワクチンを打った後に重い健康被害が確認された場合、救済制度の対象となり、市町村から医療費が支払われる。94年の法改正で入院時の食費は医療保険制度の医療費から分離されたが、救済制度の対象者に限っては、食費も医療費と同様に支払いの対象にすることとなっていた。

 しかし、神戸市では食費を対象外と誤認しており、昨年11月に職員が厚生労働省のホームページを閲覧していた際に偶然、ミスが発覚。市は過去の資料を調査して対象者を抽出したが、未把握のケースもあり得るといい、心当たりがある人に連絡を呼びかける。

 担当者は「支払いには救済制度の認定や入院の事実が確認できる書類が必要。十分な説明や医療機関とのやり取りも行わせていただく」と説明した。市保健所TEL078.322.6782(井沢泰斗)

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