「大峯百日回峯」を満行 金峯山寺の修行僧・五條順叡さん(29)

百日回峯を満行した五條順叡さん=10日、吉野町吉野山の金峯山寺蔵王堂

 奈良県吉野町の吉野山と天川村の山上ケ岳(標高約1700メートル)の間の山道を往復する修行を100日間休まずに続ける大峯百日回峯(ひゃくにちかいほう)行に挑んだ金峯山寺の修行僧、五條順叡さん(29)が10日、満行した。同寺では戦後37人目。

 修験道の開祖役行者(えんのぎょうじゃ)が修行した大峯奥駈道の一部で、片道24キロの山中になびきと呼ばれる拝所が37カ所ある。大峯百日回峯は前半50日は2日で1往復し、後半50日は毎日約13時間かけて1往復する。

大雨もたらす線状降水帯の下でも歩み諦めず

 五條さんは2020年から同寺の修行機関「吉野学林」に入り、修了を控えた今年5月から百日回峯を始めた。6月初め、県南部に発生した大雨をもたらす線状降水帯の下でも歩みを諦めなかった。満行の日は午前1時半、吉野山をたち、山上ケ岳には午前8時半ごろ。雨は止んだが強い風と霧を抜けて歩き慣れた道を下った。

 蔵王堂で寺の関係者や縁者らに迎えられ、満行式に臨んだ。五條良知管長は「『以我功徳(いがくどく)力』『如来加持(にょらいかじ)力』『及以法界(ぎゅういほうかい)力』の三つがそろって全てが整い満行を迎えた。“自分だけ”では意味がない。一切に感謝して精進を続けてください」と言葉をかけた。お堂を出ると東の空に鮮やかな虹が輝いていた。

 順叡さんは五條管長の長男で吉野町立吉野小学校卒。百日目は世話になった人たちの顔が次々と浮かんだという。「先輩方のさまざまな教えが血肉となり、今ここに立てています」と感謝に尽き、「生家の東南院(吉野山)をしっかり守っていきたい」と話した。

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