米粉、膨らむ若者人気 健康イメージが定着

(右上から時計回りに)米粉でカリッと仕上げた油淋鶏(ABCクッキングスタジオ提供)、「バナナの米粉マフィン」(スターバックスジャパン提供)、インスタグラムでは「#米粉」の投稿数が80万に迫る

米粉が、流行に敏感な若者の注目を集めている。料理教室には受講者が殺到し、レシピ本の売れ行きは好調。カフェのスイーツにも採用され、交流サイト(SNS)でも投稿が増える。「おいしい」「健康的」なイメージが広がり、単なる小麦の代替ではない食品として評価されている。

(右上から時計回りに)米粉でカリッと仕上げた油淋鶏(ABCクッキングスタジオ提供)、「バナナの米粉マフィン」(スターバックスジャパン提供)、インスタグラムでは「#米粉」の投稿数が80万に迫る

料理教室に受講者殺到

「米粉には関心があるけど、調理の仕方が分からない」。そうした声を受け、全国93拠点で料理教室を開くABCクッキングスタジオ(東京都千代田区)は、米粉を使った講座を本年度から本格化させた。

6月に1カ月間開講した油淋鶏(ユーリンチー)教室は、他教室の1・5倍の生徒を呼び込んだ。7月には、米粉で作る羽根付き餃子の教室を開講。米粉を使うとパリッとした食感に仕上げやすいと好評だった。生徒の秋友優花さん(25)は「簡単でおいしくできた。他のレシピにも挑戦したい」と満足げに話した。同社は今後も講座を充実させる方針だ。

若者にとって、米粉はトレンド感のある食品となる。SNSのインスタグラム内での「#米粉」の投稿総数は約80万件(8月現在)で、「#小麦粉」の8・8万件を大きく上回る。ノングルテン食品となる米粉に「ヘルシーさを感じる人が多い」(ABCクッキングスタジオ)。

レシピ本も売れ行き好調

レシピサイトのクックパッド(横浜市)は、サイト内での“米粉”の検索数増加を受けて、レシピを拡充している。今春にはユーザーからレシピを募集し、米粉の掲載レシピ数は3万5000を超えるまでに増えた。

同社は米粉メーカーの波里(栃木県佐野市)と共同で3月、レシピ本の「米粉で作るほうがおいしい料理」を宝島社から刊行。ドリアやパンナコッタなど幅広いレシピが話題を呼んだ。売れ行きを伸ばし「重版を検討している」(宝島社)状況だ。

スタバがスイーツに採用

米粉を使った菓子も人気だ。コーヒーチェーン・スターバックスは5月、国産米粉を使ったマフィンを発売。同社で開発した初の米粉商品だ。客によるSNSへの投稿も活発で「もちもちとした食感がおいしいと好評」(同社)という。

農水省によると、2023年の米粉用米の需要見通しは5万トンに迫り過去最大となる。若者人気を追い風に、需要の拡大へ期待が高まる。 (鈴木雄太)

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