渋沢栄一の生誕地・深谷「中の家(なかんち)」がリニューアル 大勢行列「素晴らしい」「また盛り上がる」

リニューアルした「中の家」を見学しようと順番を待つ来場者=10日午後1時5分ごろ、深谷市血洗島

 新1万円札の肖像になる渋沢栄一ゆかりの建物、旧渋沢邸「中の家(なかんち)」=埼玉県深谷市血洗島=が10日リニューアルオープンした。一般公開の午後1時前から列ができ、市によると、約300人が来場した。タキシード姿の同市イメージキャラクター「ふっかちゃん」もお祝いに駆け付け、来場者を出迎えた。

 「中の家」主屋は、1895(明治28)年に栄一の妹夫妻によって建てられた。大河ドラマ「青天を衝(つ)け」放送終了後の2022年2月から構造補強と改修工事を進めていた。

 10日午後1時ごろ「3、2、1、どうぞ」という合図で開門。坂戸市の男性(81)は「家の中はもちろん、周りもどのように手を加えたか見たいね」と興味を示していた。

 渋沢栄一と論語の里ボランティア会の野村秀雄会長(76)は「ここへ来た人には忠恕(ちゅうじょ)の精神、真心と思いやりを覚えて帰ってほしい」と話す。メンバーの蛭川隆司さん(74)も「活動を充実させて栄一と(いとこの)尾高惇忠の活躍を知ってもらい、この地を活性化させたい」と意気込んだ。

 桶川市の神保達朗さん(74)は妻幸子さん(74)と訪れ、「昔の豪農の生活が分かる。ここからあんなに立派な人が生まれて素晴らしい」と楽しんでいた。幅広で厚みのある梁(はり)には将棋の駒や打ち出の小槌(こづち)などのはめ込み模様が残され、引き戸の金具の取っ手の模様も部屋ごとに違うことに気付いた深谷市の梅沢敏男さん(78)も「知識の広さが分かります」と興味津々だ。

 三十数年前、青淵塾渋沢国際学園の学校施設に使われていた時に来たことがあるという深谷市の小野寺美樹さん(64)は、「当時は世界中から学生が集まり活気がありました」と振り返り、「また盛り上がりますね」とリニューアルオープンがうれしそう。昨年は栄一の孫で元気だったころの鮫島純子(すみこ)さんとも会っており、「純子さんにもオープンを見せてあげたかった。いろんな意味で感慨深いです」と話していた。

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