夏だけのお祭り、犬連れでパリの“ビーチサイド”へ

こんにちは、フォトグラファーの吉田パンダです。「一枚撮ったら一粒よこせよ」とリュックの中で目力を発揮中なのは体重4,5kg、黒犬スキッパーキのスキ。今回は今年でもう21周年、今やパリの夏の風物詩となった「Paris Plages(パリ・プラージュ)」を歩きます。

2002年から始まったパリ・プラージュ。その名の通り、バカンスに出ない、出られないパリの住民や、もしくは夏のバカンス期間にパリ中心部を訪れる観光客に「パリの浜辺」を楽しんでもらおうと、セーヌ川岸に人工の砂浜やベンチを期間限定で設置したのが始まりです。

こちらは現在、絶賛修復工事中のノートルダム寺院。

その向かいにある公園を散歩しました。ここからすぐのセーヌ川岸に降りれば、そこはもうパリ・プラージュ会場です。

「よーし、今日は泳ぐぞ!!」

おふろ嫌いが何を言う。第一セーヌ川は遊泳禁止です。パリ・プラージュはあくまで浜辺『気分』、夏『気分』を味わうもの。あ、でも最近はパリのあちこちで夏の間だけ無料で入れる仮設プールが設置されています。気になる人は調べてみてください。

さて、左岸から右岸へ、セーヌ川を横切ってパリ・プラージュへ向かいます。

「えー、その前にノートルダム寺院前からパリ特派犬の私、スキ・リシャール・ド・ヴェルノンが今夜のお天気をお伝えいたします。うむ、晴れ時々おやつですね」

お天気犬さん、メルシーです。つい一枚撮ってしまうモニュメント前でした。

青春がよく似合うのは、左手にコンシュルジュリーを望むノートルダム橋。パリ・プラージュにたどり着く前に陽が暮れてしまいそう。

眼下には、椰子の木に白いロングチェア、カクテルを片手に夕陽を待つ人たち。そうです、ここはもうプラージュ(浜辺)です←ちょっと強引。

パリの浜辺に落ちる夕陽を眺めながら、読書時間もいいですね。

ここが本物のビーチじゃなくても、皆が「夏を楽しんでいる」という空気感がセーヌ川岸をいつもと違う場所に変えています。夕暮れの夏祭りを歩いているような、そんな感じです。

カフェのメニュー看板。えー、サングリアとディップ三種盛りをもらいましょうと言いたいところですが、もう少し歩きます。

切り出した木そのままのような、ベンチ。

片手に持った携帯で大音量の音楽を流しながら、ポーズをとってくれました。ほら、皆楽しそうなんです。

石壁に設置されたアスレチック遊具。

もちろん、犬たちも一緒です。スラリとした美脚が自慢なのはミックス犬のカーラ。

こちらは暑さには弱いハスキー犬。水飲み場で飼い主さんと。

「何だか楽しいな飼い主!」

良かった良かった。今日はまだまだ歩くよ。

こちらは、南国の温室を思わせるような設(しつら)えです。

ここ20年で他の主要都市同様に、パリも大きく変わりました。このパリ・プラージュが催される場所も昔は車専用道路だったんですが、ずいぶん前から歩行者専用として開放され、当時は賛否両論あったこのイベントも今やすっかり夏の風物詩として定着しています。

言ってみればフランス版枯山水(?)。砂がないところに砂を見て、川に海を感じて楽しもうというわけです。最初は「リアルな海辺の方がいいに決まっている」と思っていたんですが、今となっては「リアルではないからこそ、リアルでは再現できない無限の広がりがここにはある」と思えるようになりました。もはや悟った←え!?

さて、帰り道の橋の上では、パリにはまだ来たばかりという画家のマルセルさんにご挨拶。

明るく優しいタッチの水彩画に、皆足を止めていました。

南仏でもギリシャでも、夏の海辺はもちろん良いですが、海がないパリの浜辺も悪くありません。夕暮れのパリ・プラージュをお伝えしました。次回はこのまま、パリの夜景を歩きます。どうぞお楽しみに。

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