セックス・ピストルズのビジュアル担当が死去「莫大な遺産を残して逝きました」

ロックバンドのセックス・ピストルズのジャケットを手掛けたアーティスト、ジェイミー・リードさんが死去した。76歳だった。

『ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン』など同バンドの1970年代のヒット曲のアートワークを制作したジェイミー、そのコラージュ手法はその後何十年にも渡って模倣され続けることとなった。

今回ジェイミーの作品を担当するジョン・マーチャント・ギャラリーがBBCニュースにこう声明を発表している。「ジェイミー・マクレガー・リードが亡くなったことを悲しみと共にお知らせいたします。1947年1月16日-2023年8月8日」

「アーティスト、偶像破壊者、アナーキスト、パンク、ヒッピー、反逆者、ロマンチスト。ジェイミーは最愛の娘ローワン、孫娘ローズ、そして莫大な遺産を残して逝きました」

ローワンはインスタグラムを通して父ジェイミーに敬意を表し、こう綴っている。「私の人生で最も大事な男性を昨日失った。『心が壊れた』なんて言い足りないにも程がある!」「色々なことをずっと教えてくれてありがとう、お父さん。野に咲く花やコマドリを見て、あなたを思い出すんだと思う。自然や美しい地球についてのたくさんの不思議をあなたは教えてくれた」「いなくてとても寂しくなるけど!また会う日まで」

ジェイミーと仕事もした、パンク史の専門家で作家のジョン・サヴェージは、「彼の能力は、複雑なアイデアを目の惹くビジュアルとして完璧に表現していた」と言葉を寄せている。

デコラージュとして知られるジェミーの手法は、ピストルズのアルバム『勝手にしやがれ!!』やシングル『アナーキー・イン・ザ・U.K.』で遺憾なく発揮されている。

1947年にロンドンで生まれたジェイミー、ウィンブルドンとクロイドンのアートスクールなどで腕を磨き、学生時代に後にピストルズのマネージャーとなるマルコム・マクラーレンと出会う。

写真家セシル・ビートンによるエリザベス女王のポートレートを使用し、バックにユニオンジャックを配し、女王の目や口を隠した『ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン』のジャケットはジェイミーの代表作として知られている。

そんなジェイミーの作品はロンドンのテート・ブリテン、ニューヨーク近代美術館、ヒューストン美術館など多くのメジャーな美術館に所蔵されている。

2015年のインタビューでジェイミーはこう語っていた。「私たちの文化は奴隷化に向かっている。あらかじめ定められた役割を人々はこなす。特に職場でだ。私は常にそれについて考えを向け、それについて行動を起こすよう人々を促してきた」

一方ジェイミーの公式サイトには本人の作品について、「グノーシス主義と国教反対」のカクテルと語られている。

ここ最近はバラク・オバマを描いた「Hope」のポスターでも知られるアーティスト、シェパード・フェアリーとコラボしていたジェイミー、アメリカ格差社会への抗議のオキュパイ・ムーブメントやロシアのフェミニストパンクパンド、プッシー・ライオットの活動を支持していた。

また2017年には、自身の『ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン』作品の別バージョンを発表、アメリカ国旗を背にしたドナルド・トランプの目を十字(スワスティカ)で塞ぎ、『ゴッド・セイヴ・アス・オール』とタイトルを付けていた。

(BANG Media International/よろず~ニュース)

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