【高校野球全国選手権】スタンドで声からした慶応・大村主将の「相棒」 ベッドに隠した「誓い」の手紙

【慶応―北陸】9回、2ランを打たれた松井⑪を笑顔で励ます主将の大村=甲子園(立石 祐志写す)

◆慶応9-4北陸

 11日に甲子園球場で行われた高校野球全国選手権記念大会2回戦で、神奈川代表の慶応は福井代表の北陸に9―4で勝利した。一塁側のアルプス応援席で声をからした細井克将内野手(3年)は、主将の大村昊澄内野手(3年)が「相棒」と慕う存在。集大成の夏、2人の間には一つの誓いがある。

 7月の神奈川大会で優勝を果たした2日後の同月28日。18歳の誕生日を迎えた大村に、細井は1枚の手紙を送った。「一番近くで彼の苦労や悩み、頑張ってきたところを見てきた。温かい言葉をかけることでもっと頑張れると思った」と細井。

 封筒に入れ、大村の部屋のベッドに隠した。見つけた大村は「感動した。細井の思いも甲子園で一緒に戦いたい」と手紙を大阪に持参。初戦当日の朝にも読み直し、攻守で好プレーを見せた。

 信頼関係がより深まったのは昨夏のこと。2年だった大村は神奈川大会直前でベンチ入りを逃した。細井は「新チームでは大村が主将になると思っていた」と、悔しさから前を向こうとする同級生に、「今の1、2年生はこんな感じ」「あいつは打てないと気落ちしがち」など選手の特徴を細かく伝えた。

 「主将として悩んだときには最初に細井に相談した」と大村。チームを一からつくり上げる過程を共有した2人の間に固い絆が生まれた。

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