8月2日、浜松市は航空自衛隊浜松基地周辺の川や地下水で基準値を大幅に上回る「PFAS」が検出されたと発表しました。発がん性が疑われている有害物質の検出に地元の住民からは不安の声が聞こえてきました。
【動画】「有害物質…そんなものおすそ分けできない」自衛隊基地周辺の地下水などで発がん性「PFAS」検出に不安の声 “消火剤”に疑いの目
航空自衛隊浜松基地からほど近い浜松市西区湖東町に住む男性。趣味の家庭菜園は井戸でくみ上げた地下水を使っています。自ら育てた野菜について男性はいま、ある不安を抱えています。
<浜松基地の近くに住む男性(70代)>
「みなさんのところへおすそ分けとかしているから、やっぱり有害物質とか、そんなものとても人にあげられないし、そこは心配ですね。自分たちが食べるものも含めて」
男性が話す有害物質とは、有機フッ素化合物「PFAS」です。
<山口駿平記者>
「航空自衛隊浜松基地からほど近い小川で高い濃度のPFASが発見されました」
問題が発覚したのは8月2日。浜松市は「航空自衛隊浜松基地」周辺の川や地下水から基準値を上回る「PFAS」が検出されたと発表しました。最も高いところでは、基準値の28倍となる1リットルあたり1400ナノグラムの「PFAS」が検出されました。
「PFAS」とは、アメリカで開発された化学物質で水や油をはじく性質があり、フッ素加工のフライパンやメガネの曇り止めなどに使われていましたが、いまは発がん性のリスクがあるとして使用が禁止されています。
浜松市は8月2日付で防衛省に調査を要請。自衛隊を管轄する浜田靖一防衛大臣は先週、「PFAS」の調査に乗り出す考えを明らかにしました。
<浜田靖一 防衛大臣>
「防衛省としては、浜松市が当該要請において求めている基地内の調査について、実施する方針であり、今後、市と具体的な調査方法を調整していきたい」
この「PFAS」、全国各地の自衛隊基地周辺で相次いで検出されています。7月、沖縄県・普天間基地周辺の地下水ではモニタリングの結果、基準の36倍に達する「PFAS」が検出されました。静岡県は専門家会議を開き、発生源の特定を急いでいますが、いま疑いの目が向けられているのがそれぞれの基地で使われている消火剤の存在です。
<静岡理工科大学物質生命科学科 山崎誠志教授>
「泡消火剤にやはり『PFAS』が含まれているということになります。想像できるのは、飛行機の着陸の際に事故を未然に防ぐという意味で消火剤を撒いたりということがあると思いますので、そういったものがどうしても排水に混じって、地表に残ったものが流れ出していくっていうイメージではないかなと思います」
中野祐介浜松市長は8月10日、迅速な発生源の特定に努めるよう強調しました。
<中野祐介浜松市長>
「我々としては、すみやかに浜松基地の方で調査、またはその結果についてお知らせいただきたいと思っているところです」
健康被害が懸念される「PFAS」。原因究明と抜本的な対策が求められます。