まずは中古から入ってみるかッ 初めての「スコッティキャメロン」入門

パターには名器と呼ばれるモデルが多く存在するが、中でもスコッティキャメロンは別格だろう。ご存じの方も多いと思うが、巨匠スコッティ・キャメロン氏が手掛けるブランドで、タイガー・ウッズや松山英樹など多くのPGAツアー選手が愛用している。ゴルファーの中には『キャメロンは高価で庶民には手が出ない…』と敬遠している人も多いかもしれない。しかし、中古ショップなら新品価格に比べて手頃な価格で手に入れることができるのだ。今回は、スコッティキャメロンのパターを中古で購入する際のポイントを紹介する。

そもそも「スコッティキャメロン」とは?

中古で探す前に、まずはキャメロンパターの歴史をおさらいしておこう。1992年にスコッティ・キャメロン氏が設立した同氏の名を冠したブランド。「クラシック1」というモデルを製作した翌年に、ベルンハルト・ランガーがそのモデルを使ってマスターズを制し、一躍有名となった。1994年にはアクシネット社と契約を結び、タイトリストブランドの仲間入りを果たす。また、プロ転向後のタイガー・ウッズが使用したことで、世界的に人気が爆発。日本では、「キャメロンのパターカバーをしているとお昼休憩で盗まれる」というウワサから、他社のヘッドカバーをつける人が出てくるほどだった。

「PHANTOM X」シリーズのプロトタイプについて説明するS.キャメロン氏

現在大手量販店では、タイトリスト社のカタログに掲載されているモデルが主に並んでいる。しかし、同ブランドには特別にオーダーされた限定品(プロトタイプやツアー支給品など)が数多く存在し、中古市場では高級スポーツカーが買えるほどの価格で取引されているものもある。コレクションしている人も多く、年数が経過しているからといって安くなるとは限らない。

初キャメロンの人におすすめのヘッド形状は「ニューポート2」

初めてスコッティキャメロンを購入する際に検討してほしいのは、タイガー・ウッズや松山英樹がプロトタイプを使用していた「ニューポート 2」だ。シャープな形状のブレード型でツアープロの愛用者が多く、ブランドを象徴する形状と言っても過言ではない。

各年代の「ニューポート 2」。左から「STUDIO STYLE」(05年)「18 SELECT」(18年)「SPECIAL SELECT」(20年)

1997年の「CLASSICS(クラシック)」シリーズや「TERYLLIUM(トレリウム)」シリーズで誕生したヘッド形状で、人気があって中古市場に出回る数も多く中古価格も安定している。「18 SELECT ニューポート 2 パター」(2018年)は3万円台後半から、「SPECIAL SELECT ニューポート2」(2020年)は4万円台前半からで在庫も豊富だ。2012年に登場した「SELECT(セレクト)」シリーズ以前のモデルは2万円台から店頭に並ぶこともあるが、程度が良ければ一瞬で売れてしまうため注意が必要だ。

すぐに手に入れたい人はカタログモデルを検討してみよう

さて、カタログに載っているパターの中でのおススメを紹介しよう。ブレード型やマレット型などがラインアップされている2018年の「18 SELECT」シリーズと、2019年に登場したネオマレット型の「PHANTOM X」シリーズだ。両シリーズともに3万円台から見つけることができるだろう。

スコッティキャメロンのパターは、年式やモデルによってフェース面の素材やミーリングの深さが異なり、打感に違いが出る。シリーズの中でどの形状が自分に合っているか、どのような打感が好きかなどを知るために、可能であれば店頭で試打することをおすすめする。

年式よりも消耗の程度の差が価格に反映される

同じモデルでもこれだけ程度が違うと、販売価格が約1万5000円も変わる

キャメロンパターの中古市場での特徴としては、年式の違いによる価格差があまりないことが挙げられる。年式を気にせず、好みのデザインや打感を重視して選ぶのが良いだろう。こだわるべきは傷の有無だ。他社モデルと比べて、消耗の程度の差による価格差が大きい傾向にあり、特にフェース面やヘッド上部は要チェック。ヘッドカバーの有無や傷の程度が価格に反映しやすい。裏を返せば、「カバーが付いていないもの」や「傷アリもの」で妥協すれば、お手頃価格でゲットできるということだ。

手に入れたら長年使い続けるか、試しに使ってみるか決断すべし

購入後、手放す可能性もある場合は、高値で売ることを考えてなるべく傷がつかないように大切に扱いたい。ヘッドカバーも純正品は保管しておき、ラウンドは別のヘッドカバーをつけていくなどの工夫も良いだろう。エースパターにすると決めたら愛着をもって使い倒そう。

残念ながら、高価なモデルだからといって結果に直結するかは別問題だ。しかし、美しい形状やソリッドな打感、そして圧倒的な所有感。“このパターで入らないのは自分の腕が悪い!”と思わせてくれるクオリティがスコッティキャメロンの魅力。中古で自分に合ったモデルを探して、その魅力を体感してみるのはいかがだろうか。(文・田島基晴)

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