まさかの「減少」 もう一度深めたい環境への関心

 日本人の環境問題への関心は、諸外国に比べて低いそうだ。アメリカのピュー・リサーチ・センターが、2015年と2021年に複数の国で、気候変動に関する危機感について調査したところ、多くの国で「とても心配」と回答する人の割合が増加したが、日本のみ8ポイント減少するという結果になった。国内において、環境問題やSDGsに対する意識の高まりを感じる場面も多々あるが、世界と比べれば、まだまだ認知の促進が求められるようだ。

 地球が抱える問題の認知度を高める為には、今までメディアや教育現場が主に担ってきた認知を広める役割に加えて、一般企業の役割が重要になってくるだろう。国内の企業でも、2015年に採択されたSDGsへの取り組みが幅広く行われており、多様化が進んでいる。その中でもユニークな取り組みについて、いくつかご紹介しよう。

 大手食品メーカーのネスレ日本は、廃棄される容器とコーヒーのカスで、衣服を製作するという業界初の取り組みを発表した。日清紡ホールディングス<3105>と共同で取り組むこのプロジェクトは、回収した紙製の詰め替え容器と、自社直営のカフェで出たコーヒーカスを使って衣服を製作し、カフェのユニフォームとして使用する方針だ。将来的にはアパレルメーカーに提供することも視野に入れているそうだ。

 回転寿司チェーンのくら寿司<2695>では、海洋問題を学び、解決策をみんなで話し合える出張授業に取り組んでいる。模型や映像を使った、海にまつわる講座から、飲食店のフードロス問題まで、SDGsに関する理解を深められる内容だ。授業内容は、小学校の新学習指導要領にある「持続可能な開発のための教育(ESD)」に合わせてデザインされており、授業の一環として充分に通用するものとなっている。

 大手ミツバチ産品メーカーの山田養蜂場では、「第7回 ミツバチの絵本コンクール ストーリー部門」が開催されている。環境汚染に弱く、環境指標生物ともされるミツバチをテーマに、したコンクールだ。ミツバチが自然と調和する姿に触れることで、自然環境や助け合う仲間の大切さ、生命の尊さを考える機会を提供したいとの考えで実施している。1999年に当コンクールの前身となる「ミツバチの童話と絵本のコンクール」が開始され、今回で通算25回目を数える。これまでに59,979作品の物語や絵本の応募があり、年々人気が高まっている。

 環境の問題を考える上で重要なことは、問題をいかに自分ごととして捉えられるかだ。規模が大きくなればなるほど、問題意識は薄れてしまうのは世の常だ。しかし、今私たちが住んでいる地球のことなんだと、常に意識することが重要だ。今日もメディアでは、異常に高い気温について報じている。異常気象を肌で感じる今だからこそ、もう一度環境問題への関心を深めたい。 (編集担当:今井慎太郎)

日本人の環境問題への関心は、諸外国に比べて低いそうだ

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