日航機墜落38年、遺族ら登山 520人悼み、安全祈る

「御巣鷹の尾根」にある「昇魂之碑」で手を合わせる男性=12日午前、群馬県上野村

 520人が亡くなった1985年の日航ジャンボ機墜落事故から38年となった12日、遺族らが現場の「御巣鷹の尾根」(群馬県上野村)に慰霊登山した。墓標や墜落地点の尾根に立つ「昇魂之碑」で犠牲者を追悼。2019年10月の台風で崩落した登山道は昨秋、完全復旧した。

 蒸し暑さの中、遺族らは整備された道を踏みしめ、尾根の斜面に点在する犠牲者それぞれの墓標にたどり着き、手を合わせた。昇魂之碑の前では遺族らの「8.12連絡会」が空の安全を願って鐘を鳴らし、子どもがシャボン玉を飛ばした。

 次男健君=当時(9)=を亡くした連絡会事務局長の美谷島邦子さん(76)は「安全や平和を祈る気持ちは皆同じ。38年前、520人から受け取ったバトンを次の世代に渡していく」と話した。日航によると、登山者は午前11時現在で52家族の206人。

 12日夕には麓にある「慰霊の園」で追悼慰霊式が営まれる。昨年までは新型コロナウイルス対策で参列者は日航や村関係者に制限されていたが、今年は4年ぶりに遺族が参列する。

「御巣鷹の尾根」にある「昇魂之碑」の前でシャボン玉を飛ばす人たち=12日午前、群馬県上野村
日航ジャンボ機墜落現場「御巣鷹の尾根」

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