F1シートを失ったデ・フリース、レースからいったん離れ、学業に励む

 スクーデリア・アルファタウリF1のシートを失ったニック・デ・フリースは、レースドライバーとしての活動をしばらく休み、ビジネスの勉強をすると明かした。

 FIA F2とフォーミュラEでタイトルを獲得したデ・フリースは、2022年イタリアGPで、ウイリアムズからアレクサンダー・アルボンの代役としてF1デビューを飾り、見事な走りをしたことで注目を集め、今年、アルファタウリからF1での初のフルシーズン参戦をスタートした。しかしチーム上層部が望むパフォーマンスをすぐさま発揮することができず、わずか10戦を戦った後に契約を打ち切られてしまった。

2023年F1第10戦オーストリアGP ニック・デ・フリース(アルファタウリ)

 オランダのウェブサイト『RacingNews365』のインタビューのなかで、シート喪失はどれほど辛い経験だったかについて聞かれたデ・フリースは「実際にはそうではなかった。たくさんのサポートを受けていたし、とても自然に過ごしてきた」と答えた。

「あれ以来、よくゴルフをするようになったよ」

 将来、フォーミュラEやWECでレースに出場するのではないかとも予想されているデ・フリースだが、当面は学業に時間を当てるつもりであり、ビジネスのコースを受講すると明かした。

「今までの人生で勉強をしたことがない。高校も卒業していないんだ」

「でも9月にハーバードのコースを受講するつもりだ。交渉とリーダーシップといったことを少し勉強する。今は少し時間があるし、他のことを学習することに興味があるから、やってみたいんだ」

 デ・フリースの今回の決断には、メルセデスF1チーム代表トト・ウォルフの影響があるかもしれない。デ・フリースは元々メルセデスF1傘下のドライバーだった。アルファタウリから放出された後、デ・フリースはウォルフと会って話をしており、今後についてのアドバイスを受けているようだ。ウォルフは今年、ハーバード・ビジネス・スクールのエグゼクティブフェローに任命され、ゲスト講師として、リーダーシップ、組織文化、個人の有効性などについての見識を、MBA(経営学修士)課程の学生たちに披露している。

ニック・デ・フリースとメルセデスF1代表トト・ウォルフ

 先月には、昨年末でF1から離れたニコラス・ラティフィが、レーシングドライバーとしてのキャリアを中断し、学業に勤しむことを明らかにした。ラティフィは、ロンドン・ビジネス・スクールでMBAを取得することを目指すという。

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