浦和のカフェ風人気店、格別の“コーヒー豆店”だった JR駅の近く コンビニで飲めるも、根強いファン獲得

珈琲豆専門店コンコード、2代目店主の青木光夫さん

 JR北浦和駅(埼玉県さいたま市浦和区)東口から平和通りを少し歩くと、青と白を基調にした海外のカフェのような店が見える。珈琲豆専門店コンコード。ドアを開けるとコーヒーの良い香りがふわりと漂う。陶器のコーヒーミルや銅のポットが並び、天井にはレトロな扇風機が回る。

 アンティークショップを思わせる店内の奥には大きな焙煎機。「扇風機は天井に合わせて自分でサイズを直した。焙煎機も手直ししている」と話すのは、2代目店主の青木光夫さん(76)。元は乾物屋「栃木屋」だった。栃木の農家出身の先代がでっち奉公を経て1948年に創業。早朝からカゴを背負い築地まで仕入れに行き、サラリーマンが出勤する頃に戻る父親に同行しつつ、店を継ぐつもりがなかったという。

 英語教師になるつもりだったが、愚直に働く両親の姿を見て「長男の自分が継がなければ」と考えを変えた。時代が変わる中、70年に店を転化。先代からは勘当ものの反対を受けたが、苦しい状況で支えてくれたのも先代だった。独学で知識を深めた豆は今や地域の人気品。「転居先から通販で買ってくれる人もいる」という。「今はコンビニでも飲めるが、厳選した豆で入れるコーヒーは格別。時代からは遅れているかもしれないが、こだわり続けたい」

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