戦時中の虐殺邦人、追悼碑を計画 比パラワン島で日系人会

日本人が集団虐殺された現場付近を訪れた日系人らと支援団体代表=7日、フィリピン西部パラワン島プエルトプリンセサ(共同)

 太平洋戦争中に日本軍が占領し、反日感情が強まったフィリピン西部パラワン島で、昨年結成されたパラワン日系人会が12日までに、戦時に集団虐殺された日本人の追悼碑建立に動き始めた。戦後78年、日系人らは沈黙を破り、民間人だった父親が殺されたなどと相次いで証言しており、追悼碑を通じて戦争の歴史を後世に伝え「和解の象徴」にしたい考えだ。

 同島のプエルトプリンセサ市公式サイトによると、1942年に民間の日本人16人が連れ去られて姿を消した。日系2世の坂根アンヘリタさんは、大工だった父の民助さんがほかの日本人らと共に抗日ゲリラに連行され、一緒に射殺されたと伝え聞いたと証言。日系人会によると、虐殺現場は市中心街から35キロ離れた幹線道路の近くという。

 その後、日本軍が弾圧を強め、抗日ゲリラ活動が続く中、多くの島民が殺されていった。

 日系人会のマーガレット・ルマワグ会長らは今月7日、バイロン市長と面会し、追悼碑の建立計画を伝えて協力を求めた。バイロン氏は申請を出すよう促した。(プエルトプリンセサ共同)

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