誕生から10年目の記念すべきウェッジ ギアに詳しいレッスンコーチの評価は！？

アベレージゴルファーを対象に、とにかくアプローチ&バンカーショットをやさしく打てるモデルを開発してきたキャスコ「ドルフィンウェッジ」シリーズ。2013年の誕生から10年となる節目の年に登場した「DW-123」は、単なる“お助けクラブ”ではなく、どんなライからでも100yd以内なら寄せられるという万能ウェッジだ。そんな同社の意欲作を有識者3人が採点。ゴルフテックで1・2を争うギア知識を持つコーチ・堀江智史の評価は！？

「フェースを開いて使うことが前提？ 試打前後で感じる印象のギャップ」

―率直な印象は？
「ソールを見たときの印象と、実際に構えて振っているときの印象とで、かなりギャップを感じます。ソールを見ると、特有のヒール側が出っ張った形状で邪魔になってしまうのでは？という不安を抱いてしまうのですが、実際に構えて振ってみると、驚くほど正統派に感じる性能。フェースを開いて打つこともなんら問題なく、自由度がかなり高まったクラブといえます」

―バウンスの効き具合は適度？
「正直、そこまでバウンスが効いている感じはありません。ダフりにくい、ミスに強いという感じは、スクエアに構えて使っている分にはそれほど強くない。フェースを開き、バウンスの効果を自分でつくりにいって、初めてしっかりと効いてくれる性能だと思いました。芝の上でもバンカー内でも、バウンスを効かせるならフェースを開く必要がある。ただ、その中（開いて使うカテゴリー）では、やさしいと思える部類に入るモデルだと思います」

―クロムメッキと銅メッキ（カッパー)仕上げの違いは？
「カッパー仕上げのほうが、日差しの反射によるフェースの見えづらさを防いでくれる点と、打感がやわらかい点で違いを感じます。ただ、だからといってスピン量が多くなるということは感じませんでした。色がシルバーより濃いのでサイズが小さく締まって見え、より操作性を高く感じたのはあるでしょうか。あとは、他の人が持っていない優越感に浸れる点は大きいと思います」

―過去に「ドルフィン」を使ったことは？
「購入したことはないですが、レッスンを受けているお客様が持っていたものを試して使わせていただいたことがあります。そのときに抱いたミスに強いイメージと、今作での印象はかなり変わっていて、特にソールのヒール側の削りが入ったことで、バウンス効果を少し抑える意図を感じます。バウンス効果は最小限に維持しつつ、操作性を上げて芝の上でもフェースを開いて使うことができる。逆にオートマチックなやさしさを求める声には応えない方向で、あえて作られた気がします」

―気になるデメリットは？
「見た目と性能のギャップがあることで、ヒール側の出っ張りが本当に必要か？ という疑問を抱いてしまいました。同シリーズの特徴ではあるのですが、この出っ張りがあることで、芝の上からフェースを開いて使うときに邪魔に思えてしまわないか――。自由度が増したことで、あえて独特な形状を選ぶ必要がなくなり、一般的な形状のもののほうがイメージが湧くという声が出る可能性もなくはないでしょう」

―どのような人向き？
「平均スコア100前後から抜け出し、90が見えてきたゴルファー向け。アプローチショットのバリエーションを、現在より増やしてコースで試したいプレーヤー向けになると思います。プロ仕様のモデルを使いたいけれど、そこまでいろいろな打ち方を多用するわけではなく、かといってお助けウェッジにも頼りたくない。自分の意思を少しだけ入れてアプローチを打ちたい人向けといえるでしょう」

性能面での欠点はなく3項目で5点満点◎【総合評価4.8点】

【スピン性能】5.0
【打 感】5.0
【抜け感】4.5
【バンカー対応力】4.5
【構えやすさ】5.0

・ロフト角：花道52度、バンカー58度
・使用シャフト：NSプロ 950GH neo（硬さS）
・使用ボール：タイトリスト プロV1

取材協力／トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋