横浜国際プールが岐路に 「二つの顔」に年間工費5千万円 冬季はプロバスケ使用の体育館 運用に外部監査で疑義 

夏季はプール、冬季は体育館と「二つの顔」を持つ横浜国際プールのメインアリーナ=横浜市都筑区(加地紗弥香写す)

 開館から四半世紀を迎えた横浜国際プール(横浜市都筑区)のメインアリーナが岐路に立っている。夏季は国内最大級の50メートルプール、冬季はプロバスケットボールチームが使う体育館と「二つの顔」を持つが、床の転換には年間5千万円強を要し、工事の休館は計2カ月に及ぶ。市は「一本化すべき」という外部監査の意見を踏まえ、今夏に本格的な調査を展開。本年度中に将来の姿を決定する。

 約4千人の観客を収容できるメインアリーナは毎年、多数のアマチュアスポーツ大会の舞台になってきた。50メートル×10コースのプールは2002年に国際大会「パンパシフィック水泳選手権」が開催された実績もあり、体育館はプロバスケットボールBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」が本拠の一つにしている。

 大会や試合の開催日以外は個人の利用も可能で、市民になじみの深い公共施設だが、夏季と冬季で役割を変える運用方法を巡り、昨年2月に疑義が呈された。

 市の21年度包括外部監査報告書は、体育館の床としてパネルを組み立てるために約2200万円、プールに戻す際に約2900万円が必要と説明。1カ月ずつの工事中は休館せざるを得ず、本来得られる利益を逸してしまう機会損失が生じている点にも言及した。

 さらに、プールの設備は現行の国際大会基準を満たしておらず、建設当初の目的に合致していないと指摘。「明らかに合理性がない」と断じて役割の一本化を提案した。

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