熟年離婚で“幸せになった女性”がしていたこと #5「離婚がきっかけ…大正解だったこと」

どんな場合でも離婚は簡単ではありませんが、特に配偶者と長く生活を共にした後の「熟年離婚」は、ひとりになった後の人生が大きく変わります。

年齢が高くなると、よりクローズアップされるのが仕事やお金の問題であり、離婚後に自立して生きていけるかどうかが最大のハードル。

熟年離婚で幸せになった人は、シビアな現実を正面から見て最大限の努力をしています。

実際にどんな考え方で離婚やその後の生活と向き合っているのか、実録でご紹介します。

「元夫と離婚したのは私が48歳、次女が就職で県外に出たタイミングでした。

ワンマンで家族の気持ちより自分の考えが正解だと思っている元夫は、長男や次女の就職先にも口を出し『そんな名前を聞いたこともない会社で大丈夫か』と失礼な言葉を平気でぶつけるので、最後まで嫌な思いをしましたね。

子どもたちはそんな父親にとうの昔に愛想を尽かしており、常に私の味方をしてくれていたのが唯一の救いでした。

『この人はもう変わらない。この子たちが出ていけばこんな人間とふたりで暮らしていかなければならないのだ』と現実を想像して戦慄したのが二年前、それから離婚に向けて動き出しました。

子どもたちの世話など何もしない元夫で、部活動や塾の送迎など全部ひとりでやる必要があった私は、ずっとパート勤務が限界の状態。

収入の額を見ればとても自立した生活は無理で、悩んでいるときに勤め先の本社から正社員登用のお知らせがありました。

同じスーパーで長年働いている私は良く言えばベテランで、簡単な試験と面接をクリアすれば正社員になれると知り、『これしかない』と奮い立ちました。

元夫に話したときは『今さら正社員か』と鼻で笑われ、そのときに『絶対に離婚するのだ』と誓いましたね……。

子どもたちは『がんばって!』とずっと応援してくれて、無事に正社員になれたのが去年。

販売や衛生の勉強など改めて取り組むのは予想外に楽しくて、自分はこの仕事が好きなのだ、だから続けられたわけだし、スキルを会社やお客さまのために活かせることは幸せなのだ、と考えていたら涙が出て。

離婚を意識してから初めて、自分の力を最大に伸ばすこと、その結果お金を稼ぐ意味を考えました。

そんな私を見ていた子どもたちは一緒に正社員になれたことを喜んでくれて、離婚の意思を伝えたら『それがいいと思う』ときっぱりと言ったのはうれしかったですね。

元夫とは財産分与で揉めましたが何とか離婚が成立、私は家を出てひとり暮らしを満喫しながら仕事も楽しんでいます。

離婚をきっかけに働くことをしっかりと考えることができたのは、自分にとって大正解だったと今も思います」(50歳/小売業)

離婚すれば収入の面で自活していかねばならず、熟年離婚になると勤め先が限られたり両親が高齢だったり、より生活への不安が大きくなります。

そこで改めて考えるのが「働くことの意味」で、正社員の登用を目指し自分の仕事へ集中する機会があったことは、女性を精神的に大きく支えたのではないでしょうか。

家族の応援もうれしく、離婚後もやりがいのある仕事を持てる自分でいられるのは、幸せなことだと感じます。

(ハピママ*/ 弘田 香)

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