〔国内〕2023年7月の災害を振り返る

2023年7月に発生した国内での大規模な災害、事故・事件の案件について振り返ります。

※被害の内訳については、原則的にレスキューナウによる情報取りまとめ時のものです。それぞれの記事の最終更新日以降の状況については反映されていないことがあります。

●7月
【自然災害】6月末から梅雨末期の大雨 記録的な大雨で九州地方や山口県で甚大な被害
[被害]死者13人 行方不明者1人 負傷者15人
2023年6月末から日本付近に梅雨前線が停滞し、活動が活発になった。6月30日から九州地方を中心に記録的な雨量となった。7月1日未明には山口県で、2日未明には鹿児島県奄美地方で「線状降水帯」が発生。猛烈な雨が降り、警戒レベル5の「緊急安全確保」を一時的に発令した自治体もあった。7日以降は、九州から東北にかけての広い範囲で大雨が降った。特に、10日未明から九州北部地方で「線状降水帯」による猛烈な雨が降り、福岡県と大分県に一時大雨特別警報が発表された。福岡県添田町や久留米市では24時間降水量の期間最大値が400mmを上回り、観測史上1位を更新。福岡県久留米市や佐賀県唐津市では土石流が発生し、8人が死亡した。そのほかにも川に流されるなどしてあわせて13人が死亡し、1人が行方不明となった。
この大雨で住宅全半壊177軒、床上浸水2102軒、床下浸水5179軒と家屋にも被害が出たほか、福岡県と大分県の一部地域で通信障害が起きるなど、ライフラインにも大きな影響を及ぼした。また、政府は被害状況を鑑み、7日までに山口県・島根県・佐賀県・大分県・福岡県の合計18の市町村に災害救助法を適用した。

【自然災害】前線の影響により北陸・東北地方で断続的に大雨
[被害]死者2人 負傷者4人
2023年7月12日から16日にかけて、北陸地方・東北地方では前線の影響による記録的な大雨を観測した。北陸地方では、12日夜遅くから発達した雨雲が流れ込み、石川県と富山県では線状降水帯が発生したとして「顕著な大雨に関する気象情報」が発表された。13日朝までの24時間降水量は、石川県かほくで206.5mm、富山県秋ケ島で205.5mmなどを観測した。また、東北地方では14日から16日にかけて、北日本付近に停滞する前線の影響で秋田県を中心に記録的な大雨となり、秋田県の各地で72時間降水量が観測史上1位を更新した。
これらの大雨により、各地で死傷者や河川の氾濫・土砂崩れ・浸水などの被害が発生した。富山県南砺市では土砂崩れが発生し男性1人が死亡。秋田県五城目町では車が水没し男性1人が死亡した。家屋への被害は東北地方で4800軒、北陸地方で1400軒近くの家屋が浸水した。ライフラインへの被害は、秋田市の病院では周囲の浸水のため救急外来などの受け入れを一時停止したほか、断水や交通障害等も多数発生した。こうした被害状況を鑑み、政府は15日までに青森県・秋田県・富山県の合計20の市町村に災害救助法を適用した。

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