完全アウェーで「仏になれた」 勝みなみを救う値千金イーグル

雰囲気は“完全アウェー”(撮影/村上航)

◇海外女子メジャー最終戦◇AIG女子オープン(全英女子) 3日目(12日)◇ウォルトンヒースGC (イングランド)◇6881yd(パー72)

米ツアーで初めての優勝争いは、スタートから異様な雰囲気だった。まず、ついて歩くギャラリーの数がほかの組に比べて桁違い。2サム同組で地元イングランドのチャーリー・ハルへの大声援を聞きながら、勝みなみはメジャーのムービングデーを戦った。

「アウェーゲームって、あんまり経験したことなくて、まさかあそこまでだとは思ってなくて…」。最初は戸惑いを隠せなかったが、今年から主戦場を移して何事も経験と割り切るルーキーも肝が据わっている。「あそこまで振り切ってくれた分、仏になれたというか。意外と、その状況を楽しめた」と笑った。同伴競技者の応援団でも、いいプレーをすれば自分にもしっかり拍手をくれるもの。イレギュラーなシチュエーションを寛大な心で受け止めたという。

2番ではグリーン面の見えない窪地から見事なリカバリーショットでパーセーブ(撮影/村上航)

3日間で最も強い風が吹く中での18ホールは、忍耐を抜きにして語れない。1番でボギーが先行した後もショットが散り、タフなセカンドでなかなかグリーンを捉えられなかった。フェアウェイキープ率40%(6/15)、パーオン率44.44%(8/18)は今週ワースト。それでも、キャディのミック・シーボーンさんが繰り返す「きょうは耐える日だよ」という言葉を信じて必死にショートゲームでスコアを作った。

上位を狙える位置に踏みとどまった(撮影/村上航)

ティイングエリアが前に出され、1オンも狙える10番パー4でティショットがラフにつかまり、2打目のアプローチも目の前のバンカーに落とした。短くないパーパットを残したが、「まさかのじゃないけど、入ってくれて。私、きょうはツイてないなって思っていたけど、あれが入ったときに、結構ツイてるのかなって思い直したんです」。15番までに4つのボギーをたたく苦しい展開でも前向きさを失わず、集中力を切らさない姿勢は16番(パー5)で報われた。

残り187ydから8Iで2オンに成功。6m近いイーグルパットをねじ込み、この日初めてボギー以外でスコアを動かした。「16番があったから、笑顔で終われたなって感じ。救われました」。通算3アンダー14位に後退したとはいえ、まだまだ上位を狙える位置に踏みとどまることができた。

橋を渡っている途中(撮影/村上航)

「いろんなことを経験して、来年も再来年もどんどん強くなっていければいい。そのひとつの過程が、きょうだったのかな」。成功も失敗も糧にして向かう今季メジャー最終戦の最終日。「あしたは違う1日にしたい」と誓った。(イングランド・サリー/亀山泰宏)

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