救命胴衣、記者2人が波立つプールで体験 効果はどれほどなのか? 水の事故防止へ着用を

浮力7.5キロのライフジャケットを着て浮かぶ記者=横浜市中区

 夏休み期間中は川や海など水辺でのレジャーの機会が増え、水難事故のリスクも高まる。相次ぐ水の悲劇を防ぐため、第3管区海上保安本部(横浜市中区)では、海水浴客や釣り人らにライフジャケット(救命胴衣)の着用を求めている。効果はどれほどなのか? 正しい着用方法は? 記者が実際に体験してみた。

 うだるような暑さが続く7月下旬。ペンとカメラをかなぐり捨てて、33歳と27歳の記者2人は、3管・横浜海上防災基地(同区)の訓練用プールを訪れた。

 二人とも学生時代は水泳でならした。Tシャツやズボンなどを身に着けたまま、深さ2メートルのプールに勢いよく飛び込む。足はつかないが、浮くことはできた。だが、ここからだ。特殊な装置で30センチの波を立ててもらう。波が次々と記者の顔面に押し寄せ、呼吸を阻む。一瞬、溺れるかもしれないという恐怖を感じた。

 ここで、浮力約7.5キロのライフジャケットを着てみた。3管交通部安全対策課の青柳一英課長は「まずは呼吸ができるように頭を浮かせることが大事で、そのためには体重の10%程度の浮力が必要」と説明する。体重60~70キロの記者には十分な浮力。体が強く浮き上がり、波に合わせて10分ほど浮いていられた。

 主に釣りやSUP(スタンドアップパドルボード)で使われる浮力約2~4キロのライフジャケットも試した。油断すると体が沈み、やや心もとなかったが、それでも着用しない時とは大違い。サポートしてくれた元特殊救難隊員は「波に対して背を向けた状態で、あおむけになって救助を待って」とアドバイスする。

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