ガソリン高騰 エコ運転のこつは? JAF岡山支部に聞く

「エコドライブは財布にも地球環境にも優しい」と話す建部さん=JAF岡山支部

 岡山県内では、7月下旬にレギュラーガソリン1リットル当たりの店頭平均価格が170円を超え、高止まりの終わりが見通せない。夏休み期間の8月は、帰省、旅行などマイカーで遠出する機会が多く、頭を抱えている人も多いのでは。少しでも節約につながればと、日本自動車連盟(JAF)の岡山支部を訪ね、家計にも環境にも優しいエコドライブのこつを聞いた。

 ◇

 助言してくれたのはJAF認定セーフティーアドバイザーの建部拓さん(49)。発進、巡行、減速、停止と、自動車の走行過程を四つに分けて説明を受けた。

 まずは発進。自動車が走行する際に最も燃料が使われるのはこの時で、市街地走行では全体の消費量の4割に相当する。

 ポイントは「車が動き出してからアクセルON」。ブレーキペダルから足を離すと動き出すオートマチック車特有の「クリープ現象」を利用して、車が動き出してからゆっくりアクセルを踏み込んで加速する。目標は、時速20キロ到達まで5秒。ぐっと踏み込む場合と比べて10%程度の燃費が改善するという。

 発進した後の巡行中は、速度をなるべく一定に保ち、加速や減速を繰り返さない。ゆとりを持った車間距離を心がけると、加速や減速が少なく済み、車酔いの予防にもなる。

 減速も、加速と同様でゆっくりが基本。自動車は、一定以上のエンジン回転でアクセルから足を離すと、燃料供給が止まる「フューエルカット」が起きる。早めに足を離してエンジンブレーキで減速するよう心がけることが節約になる。この際に重要なのは「先読み運転」だ。二つ三つ先の信号の変化や歩行者信号の点滅に気を配り、停車のタイミングを予測して運転することが、燃費改善だけでなく安全運転にもつながる。

 最後は停止時。走行していなくても、エンジンが動いていれば燃料は消費される。少しの待ち合わせ時間は車内ではなく公共施設や店舗の屋内で過ごすなど、無駄なアイドリングを防ぐ工夫はできるはずだ。また、現在の乗用車では暖機運転は基本的に不要。エンジンを始動させたらすぐ出発するようにしたい。

 走行以外でも燃費を良くする方法はある。まずは不要な荷物は積まないこと。市街地走行では100キロ分の荷物で燃費が3%悪化する。ゴルフバッグやキャンプ用具はこまめに降ろすよう心がける。タイヤの空気圧も要注意。不足すると燃費が悪化し、事故にもつながりかねないので、ガソリンスタンドなどで月に1度は確認するといい。

 最近の自動車には各種の燃費計などが備わり、ドライバーも簡単に燃費や運転中のアクセルの踏み方を把握できる。建部さんは「エコドライブは環境にも、自動車にも、乗る人にも優しい運転。まずは愛車の燃費を知ることから始め、できる範囲で実践してみては」と呼びかけている。

■ここポイント!

 「エコドライブで大切なのは安全第一。燃費にこだわり過ぎないことです」。建部さんはそう話す。交通量の多い道路を自分だけ低速で走行するなど、独りよがりな運転をすると、仮に燃費は改善できたとしても、渋滞や事故を誘発したりする恐れがある。自動車の運転はあくまで安全が最優先。円滑な交通の流れを意識して、周りの迷惑にならない運転を心がけた上での燃費改善を目指したい。

交差点で信号待ちする自動車。ゆっくり発進を心掛けると燃費はかなり改善する=岡山市北区(画像の一部を加工しています)

© 株式会社山陽新聞社