Netflix映画『ゾン100』出演:栁俊太郎インタビュー後編「ゾンビになるまでにしたいこと」1位は…?

Netflixにて世界独占配信中の映画『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』。ブラック企業で働くこととなった主人公が、ゾンビパンデミックで崩壊した世界で逆に生きる活力を取り戻すというアクションコメディだ。この作品で主人公アキラ(赤楚衛二)の親友・ケンチョ役を演じた栁俊太郎のインタビュー後編では、Neflix作品ならではのダイナミックな撮影方法や、チャレンジ中の「ゾン100」リストについて聞いた。栁自身が“ゾンビになるまでにしたいこと”1位に挙げたのは…?

(前後編の前編はこちら)

■歌舞伎町を舞台にするのはさすが

――Netflix作品は『今際の国のアリス』(2020年)に続いての出演を果たし、今作は日本が舞台のゾンビ映画です。

栁 ありがたい限りです。ぜいたくなことだと思います。『今際の国のアリス』もそうですけど、『ゾン100』も日本が美しく見える作品だと思うんですよ。東京タワーや新宿、歌舞伎町を大きく取り上げるのは、目のつけどころがさすがだなと思います。海外の方が絶対に行く場所だし、それをかっこよく撮っているじゃないですか。 東京タワーの花火シーンは、僕はその現場にいなかったのでどうやって撮ったのかもわからず映像になったものを見たんですが、「すごいな。かっこいいな」と素直に思いました。海外の方が喜んでくれる、日本の素晴らしい文化を映してくれている感じがしました。

■『今際の国のアリス』出演以降、なぜかブラジル人から大人気

――Netflix作品に出演されてから、海外からの反響もありましたか?

栁 すごいですよ。絶対につながれない人とつながることができたんです。僕の場合、ブラジル人からすごくメッセージが来るんですよ。地球の反対側にいる人たちが、こんなに見てくれているんだと思うと感動します。ただ、メッセージはポルトガル語なので全然わからな いんですよ(笑)。(翻訳機能などを使えば)何となくはわかるんですけどね。みんな言ってくれることが似ていて「すごくクールだ」という、役柄に対する感想が多いです。

――『今際の国のアリス』で演じられたラスボスキャラのメイク、スキンヘッドに全身タトゥーですごかったですよね。

栁 あれも大変でしたね。『ゾン100』のゾンビメイクに近いものがあるかもしれない。

■グリーンバックでは想像力を働かせて撮影

――『今際の国のアリス』でも地方ロケを敢行してグリーンバックで撮影して、といったスケールだったと思うのですが、今回もそういった撮影方法でしたか?

栁 そうですね。建て込みはすごかったです。横浜に新宿の街並みをつくって、ドン・キホーテや歌舞伎町の一番街のシーンは横浜で撮影しました。どちらも再現度が高くて、驚きの連続でした。道路を封鎖するシーンでは、名古屋の栄通りの4車線を全部封鎖して撮影したんです。その規模感はやっぱりNetflxすごいな、と感心するばかりでした。

――グリーンバックでのお芝居は難しそうです。

栁 グリーンバックのシーンでは、僕が今回立ち向かうことになる「サメゾンビ」がどんなものか、結局わからないまま演じたので難しかったです。もちろん、サメゾンビの模型をつくってもらって、大きさはこのくらいという説明は受けたのですが、結局それがどう動いてどのくらい迫力があるかというのは想像で動くしかなかったです。殺陣のような「受けて攻める」といったアクションではなく「逃げる」ことの方が多いので、タイミングを想定して避けないといけなかったのが大変と言えば大変でした。
ただ、サメゾンビの動きを想定したものは映像でも見せてもらったので、映像見て、模型見て、アクション部の方とも相談しながら段取りを踏んでアクションに挑むことができました。入念に準備をしてくださったので、そこを信じて動きました。

――実際のサメゾンビのビジュアルは、映像が完成してからご覧になったんですね。

栁 そうです。実際に見ると、こんなに気味が悪くて、インパクトのある姿なんだ、と驚きました。

ケンチョ役の栁俊太郎

■トイレでゾンビキャストと会い「うおっ!」

――人間のゾンビ役の皆さんも大変だったでしょうね。

栁 近くで見ると本当に気持ち悪い姿になっているんですよ。相当な人数のゾンビがいて特殊メイクなど準備も必要だったので、皆さん朝が早かったんですよね。終わってから残っている方も多かったし、何時間もゾンビの姿でいるので大変だったと思います。多分、準備の段階でもう疲れているだろうから、そういった意味でもゾンビのリアリティが出ているのかも。普通にトイレですれ違ったりすると、「うおっ!」となるので、朝会うとくっきり目が覚めるような状態でした(笑)。

――ゾンビらしい動きをするのも難しそうだと思いました。

栁 ゾンビの動きは徹底してやっていましたね。普通の人間だと、壁にぶつかったり道路に倒れる時にどうしても手をついちゃうと思うのですが、ゾンビだから手をつかないで、とか、まばたきをしないで、とか。ゾンビ役の皆さん相当キツかったと思いますが、そこはアクション部さんと一緒につくり上げてくださっていたので「本当にお疲れ様でした」と言いたいです。

――栁さん自身はゾンビ映画を見ますか?

栁 けっこう小さい頃から好きで見ていました。王道なのは大体見ていると思います。ゾンビ映画って怖さを求めて見る人が多いと思うんですが、イギリス映画で『ショーン・オブ・ザ・デッド』という、わりと『ゾン100』に近いコメディタッチでハッピーなゾンビ映画があってそれはおすすめです。
今までのゾンビ作品と比べて『ゾン100』の独特なところは、日本が舞台なだけに銃も使わず、そのあたりにあるものを使って、ゾンビを倒すというよりは逃げるしかない、という状況にあるところ。そんなゾンビ映画は珍しいと思うので、新しくておもしろい作品になっていると思います。

■100個もやりたいことが見つからない

――アキラがつくった「ゾンビになるまでにしたい100のリスト」から、実際に自分でやってみたいことはありますか?

栁 僕も「ゾン100」リストをつくってSNSで挑戦してるんですけど、アキラのリストだと温泉旅行は行きたいですね。でも、結局色々とリストの内容を考えるうちに、やりたいことというよりは、やらなくてはいけないことの方が先に出てきてしまうんです。アキラも「親友に謝りたい」とか「好きな人に気持ちを伝える」ってリストに書いていましたが、人生の中で遊びたいことよりはやり残したこと、これを残して死にたくない、ということの方が優先されるんだなと思いましたね。会いたい人に会うこと…両親に会いたいとか、わりとそっちを優先したいと思いました。

――ご自身もゾン100チャレンジをされてみていかがでしたか?

栁 映画の中のアキラもそうでしたけど、やっぱり100個は無理ですね。5つ目くらいでもう「やりたいことって何だろう?」となりました。さっきも言ったように誰かに会いたいというのはすぐに思いつくんですけれど、アキラのように「パラグライダーをやりたい」「ヨガをやりたい」といった遊びや趣味でやりたいことはなかなか思いつかないです。
やりたいことを見つけるのって意外と難しいなと思いました。現実的なことを考えちゃうんですよね。これ実際にできるのかな? と。現実的ではないのは一つだけ「一級建築士の資格を取る」という、今までまったく勉強したこともないことを書いたくらいですね。映画の中のケンチョが不動産会社の営業の仕事をしていたのと、建物を見るのが好きというので思いついて。

■自分でつくる「ゾン100」リスト上位は?

――栁さんのリストの上位に来るのはどんなことですか?

栁 やっぱり家族に会いに行くこと、友達と飲むことが上位に来ます。最後は自分だけ、というよりは、誰かと一緒に過ごしたいので。あとは愛犬とずっと一緒にいること、ですね。

――宮城県仙台市のご出身ですが、映画の撮影の後に実際にご両親には会えたのですか?

栁 会えました。たまたま両親がこちらに来てくれて、姉と姪っ子にも会いました。でも、普段からちょこちょこ会いに行くようにはしています。墓参りにちゃんと行きたいので、墓参りのためだけに帰ったりもします。仙台は1時間半くらいで着くので、わりと時間を見つけて会いに行くようにはしていますね。
何回会っても「あと何回会えるのかな」と思うと、会わなくちゃ、という気持ちになります。いま60歳くらいで元気なんですけどね、両親ともに。でも会うとだんだん小さくなっているような感覚はあるので、やっぱり会っておきたいなと思うんです。

■山﨑賢人とは地元の友達みたいな感覚で過ごせる

――「友人に料理をふるまう」を実現したお写真では、具材まで手づくりの“手巻きブリトー”がおいしそうでした。

栁 料理は無心になれるからわりと好きで、リラックスするためにつくることがあります。ケンチョも料理好きな役だったので、そこは自分とマッチしていると思いました。コロナ期間にかなり自宅で料理をしていたので、つくる機会は増えました。友達と飲みに行くのも好きだけど、料理して一緒に食べるのも好きです。一人が好きじゃないんですよ。誰かと一緒にいたいんです。友達と会った方が仕事のことを忘れて気分転換になるので。

――では、同業者ではないお友達と会うことが多いですか?

栁 いや、俳優仲間でも、わりと普通の友達感覚で付き合っている友達が多いんですよ。例えば『今際の国のアリス』で一緒だった山﨑賢人とは、会っても全然仕事の話はしないです。地元の友達みたいな感覚で過ごせています。
「ゾン100」リストに関する質問では真面目で寂しがり屋の一面を見せてくれた栁俊太郎さん出演の『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』は現在Netflixで配信中。戦うより「逃げるアクション」が大変だったというサメゾンビシーン、ぜひ注目を!

スタイリスト:伊藤省吾(sitor)
ヘアメイク:速水昭仁(CHUUNi)

【栁俊太郎(やなぎしゅんたろう)Profile】
2009年に第24回メンズノンノモデルオーディションでグランプリを受賞。パリコレクションやミラノコレクションなどに出演。2012年に俳優デビュー。世界190カ国に配信されたNetflix「今際の国のアリス」をはじめ、映画やドラマで話題作に続々出演。2022年は10本以上のドラマ、映画に出演。直近ではフジテレビ連続ドラマ「スタンドUP スタート」に出演した。7月期テレビ朝日連続ドラマ「ハレーションラブ」に出演中。

【作品情報】
Netflix映画『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』
2023年8月3日(木)からNetflixにて世界独占配信中
原作:麻生羽呂・高田康太郎
「ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~」(小学館「サンデーGXコミックス」刊)
出演:赤楚衛二、白石麻衣、栁俊太郎、市川由衣、川﨑麻世、早見あかり、筧美和子、中田クルミ、ドロンズ石本、中村無何有、谷口翔太、佐戸井けん太、北村一輝
監督:石田雄介
脚本:三嶋龍朗
企画・制作プロダクション:ROBOT

©️麻生羽呂・高田康太郎・小学館/ROBOT Netflix映画『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜」

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