長時間プレイや高額課金も!「ゲーム障害」はアルコール依存と同じ脳の状態に?【図解 依存症の話】

アルコール依存と同じ脳の状態に

依存しやすい主なゲームは、MMOと呼ばれる同時参加型のオンラインゲーム、バトル系、戦略系ゲーム、ガチャが組み込まれたもの、パズルゲームなど様々です。なぜ、ゲームやネットへの依存は起こるのでしょうか。それはアルコールや薬物への依存と同様に、脳内で異常が起きているからです。欲求を満たそうとゲームやネットをするほど、脳は神経伝達物質であるドーパミンを分泌し、快楽や喜びを感じます。ただし、ドーパミンは有限なのでやがて枯渇し、焦りや不安、退屈を感じるように。不快で苦しい状態から抜け出すため、ゲームやネットを長時間続けるようになると、もはや自分の意思ではやめられません。ゲームでの課金が高額になって多額なローンを抱えたり、親の財布からお金を盗んだりして家族関係が険悪になることも。

回復には第三者の力を借りることをおすすめします。ゲーム障害は、主治医や心理カウンセラーとの面接、さらに集団プログラムを並行して行うと効果的です。とはいえ、ちょっとしたきっかけで失敗してしまうのはよくあること。ですので、本人も周りも失敗を責めるのではなく、ありのままの姿を受け入れながら、根気よく治療を続けていくのが大切です。重症になると入院して専門家の元で断ネット(完全にネットを使用しないで過ごす)しながら生活を立て直すことも検討します。

ゲーム障害ってどんなもの?

ハマリすぎると脳内で異常が起き、コントロール不能な状態に陥るゲーム障害。
不登校や家庭内暴力、借金などの問題を引き起こすことも……。

達成感を求める若い男性に多い

現実は退屈で思い通りにならないが、ゲームの中は刺激的でキャラを好きなように動かし、その世界を支配して達成感を得られる。

ゲームを始めるとなかなかやめられない

特にオンラインゲームは、目的地に到着し敵を倒しても、新たなミッションやキャラが次々に登場するので終わりがない。

課金によるトラブル

ゲーム課金が趣味の範疇を超えるとトラブルの原因に。特に当たり外れの大きい「ガチャ」はギャンブル性があり、のめり込みやすい。

家族の財布からお金をとってしまうケースも

10代男性

中学生のときにゲーム時間が増え、生活が昼夜逆転。オンラインゲームで仲間とプレイするのが好きで、レベルが上がると喜びを感じ、やめどきがわからなくなる。授業中に寝ることも多く、成績が落ち、やがて遅刻が増えて不登校に。

ゲームを取り上げられるとキレて物に当たることや、課金するために家族の財布からお金を盗むことがしばしばあり、親に連れられて受診。

集団治療プログラムでは「自分の気持ちをためらいなく吐き出せる場所」と表現し、ゲームや家族について正直に話す様子が見られる。ゲームの頻度が減り、高校へ進学してバイトも始める。しかし昔ハマったゲームの新作が出たのをきっかけに、再び昼夜逆転の生活になり、学校へも行かなくなる。プログラムへの参加を再開し、生活の立て直しをした。

出典:『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』大石 雅之

【書誌情報】
『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』
大石 雅之 著

特定の物質や行動をやめたくてもやめられない病の「依存症」。スマートフォンの普及や時代の変化にともない、依存症の種類も多様化しました。「スマホ依存」「ゲーム障害」などの言葉は、テレビやインターネットのニュースで目にする機会も増え、社会問題として注目されています。依存症は一度症状が出てしまうと完治が難しい病気です。本書はその依存症について具体例を交えながら、依存する人としない人の違いや依存症の進行の仕方、依存症が起こるメカニズムなどを、メンタルマネジメントや環境、生活習慣の観点から図解でわかりやすく解説。

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