100年前の植物見て 真庭の図書館、標本12点展示

真庭市立中央図書館に並ぶ明治期の植物標本

 明治時代採集の植物に会いに来て―。真庭市勝山の市立中央図書館で「100年前の植物標本展」が開かれ、往時に地域で見られた自然の息吹を今に伝えている。31日まで。

 現在は岡山県レッドデータブックで絶滅危惧I類に指定されているサクラソウのほか、シロツメクサ、ユキノシタなど12点を展示。「茎や葉が地面に張り付くように広がるので、ジゴクノカマノフタとも呼ばれる」(キランソウ)、「咲くのに数年かかる」(カタクリ)といった説明や関連の書籍も紹介する。

 地元の小学校代用教員だった九津見肇が明治42~44(1909~11)年に作製した標本で、700点以上が旧勝山図書館に伝わり、2018年に同市蒜山下和の津黒いきものふれあいの里に移管。NHK連続テレビ小説「らんまん」の主人公のモデルで、明治~昭和期の植物学者牧野富太郎(1862~1957年)への注目に伴い、勝山での“帰郷展”を企画した。同時に、牧野が津山市の教員に宛てた新出のはがきも展示している。

 今石美咲司書は「100年たっても形の変わらない植物に思いをはせて」と話す。問い合わせは同図書館(0867―44―2012)。

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