国体九州ブロック 水球少年男子 激戦を制し、7年ぶりの国体出場 【大分県】

勝利を決めた瞬間、選手、監督、そして関係者らも歓喜の涙を流した-。国体九州ブロックの水球少年男子が7年ぶりの国体出場を決めた。初戦の長崎に敗れ、第3代表決定戦では沖縄に14-13の僅差で勝利すると、代表枠を懸けた宮崎との試合はペナルティースロー(サッカーでいうPK)までもつれる熱戦となったが、勝利をつかんだ。

今大会の参加チームのほとんどが、県内の実力者が集まった選抜チームであったが、大分県代表は大分商業の単独チームだった。十数年前は水球の強豪県であった大分だが、競技人口の減少とともに衰退した。再建への道のりは決して楽ではなかったが、普及、育成、強化を一体となり取り組み、競技に関わるすべての人が尽力した。

今年4月に大分商業に赴任した永松拓真監督は、強化を引き受けた一人。練習初日にミーティングを開き、選手それぞれに目標を聞いた。多くの選手が「全国を目指したい」と言ったが、「全国は甘くない」と一喝。現時点の実力、全国を目指す上で必要な体力、技術、戦術を明確にしたうえで、チームの意思統一を確認した。選手のモチベーションは高く、「国体出場」を掲げ、保護者や競技関係者のサポートを受け、まい進した。

僅差の勝利で勝ち上がった

力試しとして臨んだ6月の末弘杯全九州高校選手権では、宮崎工業に5-15のコールド負けで惨敗した。ショックは大きかったが3人の3年生を中心に「まだまだ力不足。これまで以上に意識を高めて、全国を目指そう」とギアを上げた。失点が多かった守備を再構築し、攻守の切り替え、運動量で相手に負けないタフさを身に付けた。永松監督が「このチームは負けた試合を力に変えられる。反省材料をフィードバックすることで力を付けてきた」と語るように、今大会も長崎戦に負けた後も、しっかりと修正した。

エースとしてチームを引っ張った加部智也(3年)は、「初戦の長崎戦は守備が破綻したわけではなかった。相手に対し、もう一歩詰めようと再確認した」と語ったように、沖縄、宮崎との試合では、相手のポイントゲッターに対し、守備の強度を強め、ロースコアに持ち込み、勝機を呼び込んだ。永松監督は「応援してくれた方々にようやく恩返しができた。選手の能力、実力、勝ちたい思いもあった。あとは結果だけだった。それが形になったことがうれしい」と喜んだ。

長い年月を掛けて普及、育成、強化の取り組みが実を結んだが志は半ば。「全国で勝ってこそ。基礎体力はあるので、これからは応用が必要。水球の知識を高め、もう一度結果を残したい」(永松監督)と気を引き締めた。

国体出場を決めた瞬間、歓喜の輪が広がった

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