「アンドレッティはアルピーヌF1を買収すべき」とヘルムート・マルコ。双方にメリットがあると主張

 レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、アルピーヌがマイケル・アンドレッティに身売りすることでいい刺激を受けることができ、そうすれば全員の利益になるだけでなく、ルノーがF1に残ることもできるだろうと考えている。

 アルピーヌにはスポットライトが当たっているが、それはいい意味ではない。チームが代表のオットマー・サフナウアーと、長年在籍したスポーティングディレクターのアラン・パーメインのふたりの最高幹部と決別する決断をしたためだ。

2023年F1第13戦ベルギーGP グリッド上でチームスタッフと握手をかわすオットマー・サフナウアー代表
2023年F1第12戦ハンガリーGP アラン・パーメイン(アルピーヌ トラックサイドオペレーションディレクター)&ピエール・ガスリー(アルピーヌ)

 この決断によりアルピーヌはふたたび流動的な状況となった。モータースポーツ担当副社長となったブルーノ・ファミンが暫定的に日々のチーム運営を監督するかたわら、近い将来に向けた包括的な計画を作り上げることになった。フランスとイタリアでは、ルノー・グループCEOのルカ・デメオが元フェラーリF1チーム代表のマッティア・ビノットにアルピーヌの指揮を執るよう説得したといううわさが飛び交っているが、フェラーリがビノットの現在のガーデニング休暇の短縮を受け入れれば、早ければ来月からにもということになるだろう。

 マルコは、ルノーは諦めてF1チームをアンドレッティに売却することで損失を削減するべきだと考えている。特にアンドレッティは、F1が11番目のチームの受け入れに反対していることから、単独でグリッドに加わるチャンスが低いと見られている。

「アンドレッティはアルピーヌF1チームを買収すべきだ」とマルコは『Sport1.de』に語った。

「それが誰にとっても最善の策となるだろう」

「F1は10チームのままでいられるし、アンドレッティはついに参入することができ、ルノーは引き続き関与できる」

マイケル・アンドレッティ(アンドレッティ・グローバル)

 ルノーの現在の問題は組織的なことだけではない。パワーユニットはライバルチームと比べて大幅にパフォーマンスを欠いているので、アルピーヌはパワーユニットを改善して他チームに追いつけるように、F1のレギュレーションで定められたエンジン凍結の枠外で追加の開発時間を得られるよう、FIAに働きかけているくらいだ。

 フェラーリとメルセデスはアルピーヌを引き上げるための均等化のプロセスに難色を示しているが、レッドブルはルノーに適用される措置が他チームに影響を及ぼさない限りは、この方針に反対しないという。

「ルノーのケースについては、少なくとも我々は反対しなかった」とマルコは語った。

「しかしパフォーマンス差が大きいことを明確に証明する必要がある。そして残りの我々が弱体化することがないような措置が講じられるようにしなければならない。したがって現時点では申請は保留されている」

「アルピーヌの問題は理解できる。エンジン性能のことだけではない。パフォーマンスが大きく遅れを取っているのなら、最大で0.3秒の損失につながる可能性のあるストレートでのスピード不足を補うために、マシンのセットアップで妥協する必要がある。そしてそれはマシンの操作特性を犠牲にすることになる」

2023年F1第13戦ベルギーGP エステバン・オコン(アルピーヌ)

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