フロントロウ独占のルノー・フルーエンスGTが週末2ヒートを完全制圧/TC2000第8戦

 アルゼンチン最高峰のFFツーリングカー選手権、TC2000(旧スーパーTC2000)第8戦が、2021年以来約2年ぶり開催となるコルドバのシウダード・デ・リオ・クアルト・オートドロームで争われ、ルノー陣営アクシオン・エナジー・スポーツTC2000の最年長王者リオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)と、その実弟マリアーノ・ペーニャが予選でフロントロウを独占。

 決勝でも地元出身ファクンド・マルケス(ルノー・フルーエンスGT)がレース1で勝利を飾ると、続くレース2も47歳のチャンピオンが制圧するなど、フルーエンスGT軍団が前戦に続き猛威を振るった。

 同国が誇る“鉄の都市”こと商業と農業の一大集積地でもあるリオ・クアルトにて、8月5~6日の週末に開催された第8戦は、以前とは異なり刷新された新たなレイアウトを採用。金曜最初のFP1では、その初開催公式セッションでオクタノス・コンペティションの伏兵マルセロ・チャロッキ(フィアット・クロノスTC2000)が最速タイムを刻んだが、そのまま夕刻に開催されたラウンチパーティに出席した新生YPFホンダRVレーシングのエース、ファクンド・アルドゥソ(ホンダ・シビックTC2000)も、わずか0.016秒差での3番手となった自身のFP1での感触をもとに「予選は非常に厳しいものになるだろう」との見通しを語った。

「今週末は誰にとっても初めての挑戦になるが、リオ・クアルトで開催されるTC2000のイベントでは勝ったことがないんだ。だからこそ、この新生トラックで初勝利を目指したいね」と語ったアルドゥソ。

 同じくTOYOTA GAZOO Racingアルゼンティーナ(TGRA)のエースを務めるジュリアン・サンテロ(トヨタ・カローラTC2000)も、TC2000は「非常に競争の激しいカテゴリー」であり、高いレベルでいるためには「つねにベストを尽くさなければならない」と意気込む。

「このサーキットは歴史があり、国内でもっとも長いストレートのひとつを有している点は変わらない。それが独特の美しい景観を作り出しているんだ。そんなトラックで戦うことと同時に、ファンの皆に会えることも楽しみにしている」

 明けた土曜午前から再開されたFP2では、同じく「このサーキットは、僕らのカテゴリーが回復しなければならなかった素晴らしい場所だ」と語っていたシボレー陣営YPFエライオン・オーロ・プロ・レーシングのフランコ・ヴィヴィアン(シボレーYPFクルーズ)が首位に立ち「リオ・クアルトはつねに鉄の都市であり、歴史的な場所を回復するこの新たな取り組みは重要である」との言葉どおり、ペーニャやサンテロを抑え込んでのトップタイムを奪っていく。

以前とは異なり刷新された新たなレイアウトを採用した最初のFP1では、伏兵マルセロ・チャロッキ(フィアット・クロノスTC2000)が最速タイムを刻んだ
FP1後の金曜夕刻に開催されたラウンチパーティには、参戦各ドライバーたちも顔を見せた
最年長王者リオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)が、2戦連続のポールポジションを奪取する
新生YPF Honda RV Racingのエース、ファクンド・アルドゥソ(ホンダ・シビックTC2000)が、レース1スタート直後で勝負に出る

■ホンダ・シビックが序盤に首位浮上も……

 続くFP3では、地元出身の88号車フルーエンスGTをドライブするマルケスが最速のドライバーとなり、予選を前にフィアット、シボレー、そしてルノーと、複数ブランドでタイムボードの首位を分け合う緊迫の状況が生み出される。

 しかし午後の予選を席巻したのはやはりルノー陣営で、3番手となったシビックのアルドゥソや、同5番手に続いたカローラのサンテロらを退け、王者ペーニャが2戦連続のポールポジションを奪取。背後には実弟マリアーノが続いてフルーエンスGTがワン・ツー体制を固めると、4番手には18歳の新鋭イグナシオ・モンテネグロ(ルノー・フルーエンスGT)が飛び込むなど、やはり1発のスピードで他陣営を圧倒する速さを披露した。

 明けた日曜25分+1周の決勝レース1は、シリーズ独自のスタートドローによりこちらも2戦連続でマリアーノが先頭スタートの権利を手にいれると、引き続き快晴のなかスタンドを埋めた大観衆を前に、ターン1でのホールショットを決めていく。

 しかし、直後に仕掛けたのは3番手発進だったホンダのアルドゥソで、同地初優勝を目指す男が首位浮上に成功。83号車のシビックが隊列を従える展開となる。

 ただし爽やかなブルーをまとったシビックはここからレースペースに苦しむこととなり、ホームストレートで“プッシュ・トゥ・パス”の駆け引きを仕掛けたマルケスが首位を奪取。その後もポジションを下げ続けたアルドゥソをパスし、王者ペーニャが2番手に浮上してルノーがワン・ツー体制を回復。予選15番手発進から大幅な回復を果たしたシボレーのヴィヴィアンを3番手に従え、マルケスがキャリア通算3勝目、地元戦でのうれしい初優勝を決めてみせた。

 そのまま正午開催のレース2でもこのふたりが主役を演じ、スタート直後には王者ペーニャが「最後のカードとして残しておいた」というプッシュ・トゥ・パスを発動し、ターン1の攻防で前に出る。

 これで実質的な勝負は決し、チャンピオンは周を重ねるごとに後続のドライバーに対しアドバンテージを拡大し今季5勝目、シリーズ通算31勝を積算。午前とは前後を入れ替えた2位マルケスの背後にはカローラのサンテロが入り、ランキングでもペーニャ、ヴィヴィアンに続く3位浮上を果たした。

 続くTC2000の第9戦は、こちらも実に2014年以来の開催となるサンティアゴ・ヤコ・グエルニエリ・オートドロームが舞台となり、9月8~10日の週末には北東部パラナ川の西岸に位置するチャコ州都レシステンシアでの勝負が繰り広げられる。

地元出身の88号車フルーエンスGTをドライブするファクンド・マルケス(ルノー・フルーエンスGT/左)がFP3最速に続いてレース1制覇を成し遂げた
レース2では、王者ペーニャが「最後のカードとして残しておいた」という”プッシュ・トゥ・パス”を発動
シボレー陣営YPF Elaion Auro Pro Racingのフランコ・ヴィヴィアン(シボレーYPFクルーズ)も連続ポイント獲得でランク2位を死守する
レース2は王者ペーニャが制し、ルノー陣営Axion Energy Sport TC2000が連続1-2を記録した

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