【MLB】大谷41号決勝弾! 2年目シルセスの好投でエンゼルスがアストロズに一矢報いる

写真:41号ホームランを放った大谷

エンゼルスが接戦を制し、連敗を2で止めた。エンゼルスは3回表にモニアックのツーベースヒットで1点を先制。6回には「2番・DH」で先発出場した大谷翔平が9試合ぶりとなる41号ホームランを放ち、2点をリードした。投げては先発のシルセスが5イニング無失点の好投。その後は4投手の継投で逃げ切った。

アストロズの2連勝で迎えたミニッツメイドパークでのカード最終戦。エンゼルスがチェイス・シルセス、アストロズがホセ・ウルキディの両先発でスタートした。

アストロズ先発のウルキディは昨年二桁勝利を挙げ、シーズン前にはWBCメキシコ代表にも選出された右の技巧派投手。今季は4月末に故障し、MLB復帰は8月までずれ込んだ。今季は投球内容が振るわない日が続いていたが、この日は初回から2奪三振で三者凡退。上々の立ち上がりとなった。

対するシルセスは昨季MLBデビューを果たした23歳。2021年ドラフト11巡目の低評価を覆し、わずか1年ほどでマイナーリーグを駆け上がった。スピンの効いた速球を主体に多くの空振りを奪うスタイルの投手だ。この日も初回から2つの空振り三振を奪い、強力なアストロズ打線に対し存分に持ち味を発揮した。

試合が動いたのは3回。1アウトからエデュアルド・エスコバーがレフトへのツーベースヒットで出塁すると二死からミッキー・モニアックがライトへのタイムリーツーベースヒットで1点を先制。なおも二死2塁で大谷に打順が回ったが、空振り三振に倒れた。

この後は両投手の好投が続いたが6回表に大谷がアストロズの2番手・パーカー・ムシンスキーから41号ホームランを放ち、エンゼルスが2-0とリードを広げた。

アストロズはこの後エンゼルスの守備の乱れに乗じて1点を返すも反撃はここまで。最後は抑えのカルロス・エステベスが三者凡退に抑え、エンゼルスが2-1で勝利した。

昨日までは2試合連続で投手陣が崩壊したエンゼルスだったが、この日は5投手が計1失点と踏ん張り強敵アストロズに勝利した。中でも勝利の立役者となったのは先発のシルセスだろう。前回は7回12奪三振2失点の快投を見せながらも勝ちに恵まれなかった右腕だが、2試合連続での好投で4勝目を手にした。

シルセスに限らず、エンゼルスは近年のドラフトで、比較的早い段階でMLBデビューが見込める人材を多く確保する傾向にある。ドラフト1位で見ると2020年ドラフトのデトマーズ、2021年のバックマン、2022年のネトのうち、デトマーズとネトはドラフト翌年にはMLBデビューを飾った。また、今年のドラフトで指名したノーラン・シャヌエルはわずか2ヶ月足らずで早くもAA級まで昇格している。日本のプロ野球であればドラフト1位といえば即戦力という扱いだから違和感がないかもしれないが、MLBではドラフト1位であっても昇格まで3年程度かかることは珍しくない。エンゼルスのドラフト戦略は他の29球団と比べかなり異質といえる。

このドラフト戦略は一長一短だ。エンゼルスが指名する完成度の高いタレントはもちろんチームの戦力を底上げする上で即効性を持つ。一方で、いくらMLBとはいえ即効性と大きなアップサイドを併せ持つマイク・トラウトやブライス・ハーパーのような選手はそう現れない。多くの場合、ドラフト時の完成度が高い分アップサイドは小さくなってしまいがちだ。

事実、先ほど挙げたドラフト1位3人は早い段階からチームに貢献を残しているものの、情勢を大きく変えることはできていない。弱点の補強にはなっていても、大きな強みを作ることはできていないのだ。この数年、なかなかプレーオフに届かないチーム状況だけを見れば、エンゼルスはドラフト戦略をどこかで見直す必要性があると感じてしまう。

とはいえ、近年のエンゼルスが置かれた状況を考えればこのような即効性を求めるドラフトを取る姿勢は理解できる。また、ネトやデトマーズらが今後大きな強みを作る選手に成長する可能性も残されている。現在エンゼルスが取っているドラフト戦略が誤りかどうか、最終的な判断を下すにはもう少し時間が必要だろう。

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