A級戦犯、崇拝阻止で散骨 決定過程、米軍公文書で初判明

東条英機元首相

 第2次大戦後の極東国際軍事裁判(東京裁判)で死刑になった東条英機元首相らA級戦犯を巡り、米軍が秘密裏に太平洋で散骨した理由を記録した公文書が14日までに見つかった。「英雄や受難者として崇拝される可能性を永久に排除すべきだ」と、軍国主義の復活につながりかねない戦犯の神聖視の阻止を明記。ナチス・ドイツの戦犯を裁いたニュルンベルク裁判の死刑囚を川に散骨した措置を「先例」とした。散骨の理由や決定過程が公文書で裏付けられるのは初めて。

 米国立公文書館所蔵の米軍公文書を共同通信が入手した。文書は日本が占領下の1948年、マッカーサー元帥率いる米極東軍が作成。東京裁判が同年4月に結審した後の時期に当たる。

 東京・丸の内の米極東軍補給部で戦没者部門に所属したマイケル・リビスト少佐は7月21日、戦犯の遺体の扱いを検討した報告書「参謀研究」を参謀長宛てに提出した。日本で超国家主義の復活を阻止し、戦犯を崇拝対象にしないため火葬して遺骨をひそかに処分するよう求めた。

A級戦犯の遺骨を太平洋に散骨した理由を記した米軍の公文書(米国立公文書館新館所蔵)

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